桜君も副頭取も、どちらも攻撃は当たるものの、上手く防御したり躱したりで、相手に決定打を与えられない。
そんな中、遂に桜君は副頭取の顎に力強い蹴りを入れた。
重い一撃に獅子頭連の歓声が止む。
しかし副頭取はダウンすることなく、その場に踏みとどまった。
そう呟いたかと思えば、副頭取はものすごい速さで桜君に迫る。
あまりの速さに桜君も対応出来ず、溝内に重い蹴りを受けてしまった。
蹴りの威力で桜君は舞台の端まで吹き飛ぶ。
見ていただけで、自分の溝内も痛くなった。
桜君はモロに食らった蹴りで呼吸が乱れ、上手く立ち上がれない。
そんな桜君に、副頭取はカランコロンと下駄を鳴らしながら、ゆっくりと近づいた。
桜君の隣で足を止めると、話しながら副頭取は片足を桜君の頭上まで上げた。
何をするのか分かり、サッと血の気が引く。
「やめて…」と震える声が漏れた。
副頭取はそのまま、桜君の頭を勢いよく踏みつけた。
思わず立ち上がり、名前を叫ぶ。
獅子頭連からは盛大な歓声が巻き起こった。
助けたい、しかし、どうにかなど出来るわけもない。
段々目の前が涙で歪んでくる。
すると桜君がバンッ!と両手を地面に着いた。
桜君は副頭取の力に抗い、起き上がろうとする。
副頭取をそう挑発しながら、桜君は不敵に笑った。
しかし、その言葉に副頭取の顔が一層険しくなる。
そう言うと、副頭取はもう一度足を振り上げた。
また…!!
あんな威力で二回も踏みつけられたら、無事で済むはずがない。
けれど桜君は抵抗をやめなかった。
もう、ダメだ。
顔を逸らし、ギュッと目を瞑った。
次の瞬間、ドカンッ!!!ともの轟音が響いた。
その音に違和感を覚える。
さっきと…音が違う…
恐る恐る舞台を見ると、副頭取は何故か桜君ではなく、桜君の頭を避けて地面に足を振り下ろしていた。
え…何で…?
桜君も驚いているようだった。
そんな中、副頭取が口を開く。
そして副頭取の目がふとこちらに向けられ、バチッと目が合った。
あまりにいきなりのことで顔がこわばり、そのまま思い切り顔を逸らす。
え、なにっ、私何もしてないっ…
その視線から顔を背けて無理やり逃れていると、やっと副頭取の視線が私から外れた。
すると舞台からカランコロンと音がする。
「え…?」と思い、壇上に目をやると、何故か副頭取は桜君から離れ、舞台を降り始めた。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。