第19話

💛+💗
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2024/01/01 10:00
最後に来たのは。














💛「…佐久間。」

💗「…照。」
恋人である俺のところだった。
💛「…佐久間、もうすぐ……死ぬの?」

💗「…うん。」



死ぬの?なんて。

できれば一生言いたくなかった。

でも、終わりを知ってないと。


時間を無駄には出来ない。






💗「…もう、時間もないから。
            ……聞いて。」
苦しそうに顔を歪める君。
💗「…俺、照が好き。大好き。愛してるよ。」
ツゥと、頬を伝って、
💗「叶うなら、ずっと一緒にいたかった。
   でも…ごめん。」
ポタリと、涙がこぼれ落ちた。






…そんな顔、しないで。




嫌だ。




💗「ごめんっ…ごめんねっ…」









認めない。


認めたくない。







…最後に見たのが泣き顔なんて。



口を開くのに、声が出ない。

泣きたいのに、涙が出ない。






謝って泣く君に、手を伸ばした。



💛「…っ、………」


佐久間のせいじゃない。

謝らないで。

最後くらい、笑っていて。

💛「俺を」
…そこで言葉を切った。





このままだと、俺は佐久間の足を引っ張る。









…もうこれ以上、辛い思いをさせるなんてごめんだ。
💗「……俺は、桜になる。」
ふいに佐久間は、空を見上げた。


💗「俺は花になって、幹になって、照を見てるよ。

   だから…」















       どうか、幸せでいて





































最後に見たのは















佐久間のピンク色の髪が、ふわりと揺れて。



桜の花に。




















佐久間の体がふわりと浮いて。



桜の幹に。













そこに何事もなかったかのように咲き誇る、


















大きな













大きな




























桜の木だった。
























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