第2話

1 始まり。
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2020/04/05 02:00
『……っ…ごめん。さよなら。』


「まて、だめだ、行くな。俺は……っ…」




彼の最後の言葉も聞かずに


白鳥沢学園__を後にした。



___________________。



私の名前は天宮あなた。


実家である天宮家は兵庫県にある天宮総合病院を
経営している。



元々は宮城の母方の実家で暮らしてたけど



〝とある事情〟で兵庫の父方の実家_


つまり天宮家に戻ってきたのだ。




はぁ…父さんに会いたくない。


学校だって転校してこっちの高校に通わなければならない。






でも、すべては全部私のせい。




実家に着くとインターホンを鳴らし、


『あなたです。只今帰りました。』



「…入りなさい。」



父さんの図太い声に一瞬恐怖を感じたものの、


怯まずなんとか中へ入る。



靴を脱ぎ、長い廊下を歩き父のいるリビングルームへ
向かう。



_宮城の母の家と比べると当たり前のように
だだっ広い。



「久しぶりだな。そこに座りなさい。」


『はい。』



「何故ここに戻ってくる事になったか、
わかっているね…?」



『はい、私が至らないばかりに申し訳ありませんでした。』





「私の〝優秀〟な一人娘が。

まさか本当に「恋愛事」で成績を落とすなんて

父さんびっくりだよ。」


〝本当に〟ってことはやっぱりわかってたんだ。



こうなる事が。




ははっ、と表情は笑ってはいるが目が笑ってない。



ああこれは〝ガチ怒〟だ。




そう、私は恋人を作る代わりに成績を落とさないと約束したのに、


それを破る結果を出してしまったのだ。



え?厳しすぎ?


天宮家ではこうなることは当たり前。



「母さんは優しすぎる。だから私はあの人とは
昔から合わなかったんだよ。」




じゃあ何故結婚したんだ。そうツッコミたい所だったけどどうやら2人は政略結婚というやつだったらしい。



『二度と……同じ結果は出しません。
父さんを_天宮家を継ぐ人間として恥じない行いをします。』




「出来て当たり前のことをしても褒めてあげられないよ。すべては〝結果〟だ。頑張りなさい。」





バタンッ




行ってしまった。




『はぁ…』
父さんが出ていった後、全身の力が一気に抜けた。






ごめんね__若利。





牛島若利。私が付き合っていた人_。


大好きだった…のに。



私のせいで。


せめて私よりもっといい家庭に生まれて、優しい子と幸せになってね、




っ……


考えれば考えるほど涙が止まらなくなる




もう恋なんてしない。

もう父さんを失望させない。



もう誰も傷つけない。



もう傷つきたくない___。








だから私は






〝誰も好きにならない。〟







そう強く決心した。

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