僕は、雷の音にびっくりして
涙が止まらなかった。
ただ、雷が鳴ってる間、さくの家に
いようと思っただけだったのに・・・
雷のせいで、家が停電し、
部屋が、一瞬で真っ暗になる。
僕は、さくの方を見ると
お風呂に入っていたのか、上半身裸で
タオルを腰に巻いて出てきてくれた
ことに気づいた。
僕は、さくにタオルをもらい、
服を拭いた後、床も拭いた。
ゴロゴロと、雷がなり、雨も
激しいのに、さっき1人で家にいた時
より、安心できた。
僕は、さくからトレーナーを
貸してもらい、脱衣所で着替えを
した。
子供の頃は、僕の方が少し大きい
くらいだったのに、今さくの服を
着てみると、ダボダボで、ワンピース
みたいになってしまう・・・
さくは、ふいっと顔をすぐ
そらしてしまった。
僕は、なんと申し訳ないの
だろうと、肩をすくめた。
僕は、さくの手をギュッと握る。
僕が、ニイっと笑うと、さくは
両手を顔に当てて、ハアと、ため息を
ついている
さくは、顔から手をパッと離すと
僕をにらみ
と、言った。
何で?何のために?
こうして、僕は、停電してる間
さくの家で過ごすことにしたのだが、
さくは、あまり乗り気ではないらしい。
でも、1人でいるのは、嫌なので
と、返事をした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!