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第16話

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2024/03/14 09:00
大吾side

ぎゅーキツい〜とぐいぐい押しのけようと必死な流星をずーっと抱きしめていたら、突然自習室の扉が開いた。



和也
「あんたらなにやっとん?」

流星
「あ、おおはしくんっ!助けてぇ」

大吾
「はっすんおかえりー」

和也
「ただいま〜。…ほら、大ちゃん流星のこと離してやり?」



ぐいっと間を割けられて思いっきり流星と体が離れた。
さっきまであった体温が消えてさみしくなる。



大吾
「もー別にええやんっ!」

和也
「はいはい、また今度な〜?あ、流星、今日はひとりで帰ることになったから気を付けてな〜」

流星
「え〜?なんで?恭平は?」

和也
「……なんでかって?聞いてくれる??」



珍しくはっすんがイライラしてる雰囲気を見せた。
流星はちょっぴり困惑したみたいで上目遣いで俺を見上げてぱちぱちとまばたきを数回する。



流星
「…いいよ?」



・・・



和也
「てなことがあってっ!もーほんっとアホ?!」



盛大なキレムーブをかますはっすんと微妙な顔をして腕組みをする流星。

端折って説明すると、
俺と同学年で同クラスの高橋恭平が体育中に足を捻ったみたいで…。だんだん痛くなってきたにも関わらず、痛いのがバレたら大好きなバスケができんくなると思って隠したらしい。結局友達に痛そうにしとるのが見つかって放課後に保健室行き&病院行きになったみたい。



和也
「隠したほうがバスケできんくなるに決まっとるやん!なあ?」

流星
「うん。これで3回目?」

大吾
「え、今回はじめてやないん?」

流星
「うん」

大吾
「アホやなー…」

和也
「せやから流星は今日ひとりね。迎え頼む?」

流星
「んーん、ひとりで帰る」



これ、もしかして一緒に帰れるパターン?
俺が誘ったら帰ってくれる??

そんなことを考えている間に流星はもう帰る支度も済んでドアの前に立った。



流星
「じゃあ、大ちゃん帰ろ?」

大吾
「えっ」

和也
「ふはっ」



思ってもない言葉を告げられて思わず変な声が出て、はっすんに笑われた。

ってちょっと待って?ひとりで帰るんやないの?



流星
「帰らへんの?大ちゃんはまだお勉強する?」

大吾
「し、しないっ!一緒に帰る!!」

和也
「はーい、じゃあ気を付けてな〜」

流星
「ばいばい」



というわけで、ちょっとよくわからんけどなんとびっくり流星と帰れることになった。

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