私たちは本殿に向かう何かを追って廊下を走った。ほとんど夜の闇に近いような、暗い暗い廊下を駆け抜けて、私たちは本殿に辿り着いた。それは近くで見ると周りの黒に溶け込むような色をしていた。
それは異質な雰囲気を放っていたが、本殿はかなり広い上に、周りに擬態しているので視認することが難しく、ここで手間取っていると被害が拡大するだろうと思われた。
私たちが周りを見渡していると、後ろの襖が開き、さっきまで取り憑かれていた巫女の同僚が顔を出した。
巫女の同僚ははにかんだ。巫女は心配そうな顔をして彼女に駆け寄った。
巫女は何かを思い出したように上を向いた。
そう言うと巫女の同僚は感覚を集中させるように目を瞑り、周りを見渡すような仕草をした。
ひやしんすさんたちが感心しているのをよそに、巫女の同僚は精神をさらに集中させた。
永遠ともいえるような時間が経過し、巫女の同僚は目を開けると同時に天井…それも中心を本殿の方にまっすぐ向かうように、指を動かした。
私たちは本殿の中に飛び込むようにして入った。そこで、これまで感じていた何者にも侵し難いような神聖な雰囲気は少しずつ侵食されているような感じがした。
巫女は唇を噛んだ。
その途端、人の雰囲気と言うと違和感があるが、何かの気配が一切消え去り、今まで感じた事のないような静寂が訪れた。
祈祷師はそれまで政神様だったものに札を投げつけた。淡いながらも光を放っていた政神様は、札に吸収された。
何も感じられない。深い闇にひやしんすさんの声は吸い込まれていった。
本当に危機一髪だった。
祈祷師は床に落ちていた札を拾い上げた。
仕事 陸「仙妖古文書の怪」 解決



















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。