本日の部活終了。
最後に猫又監督から練習についての振り返りをもらう。
私も隅っこでみんなと一緒に話を聞いて、またメモを取っていく。
そして、皆が片付けや掃除を始めた頃、私は今日の部日誌を記入していく。
その後、ドリンクボトルを洗いにクーラーを持って体育館の手洗い場に運んで洗っていると横から大きな手が伸びてきた。
そう言って黒尾くんが横に並んで一緒にボトルを洗うのを手伝ってくれた。
黒尾くんと話をしながら、今日の振り返りもしつつボトルを洗っていく。
2人で洗ったから早く終わった。
私はクーラーを持ち上げた時…
そう言って黒尾くんが軽々と持ち上げて、スタスタ歩いていった。
体育館に戻るとコートは綺麗に片付けられて、みんなでモップをかけたり、ストレッチをしていた。
突然、黒尾くんに呼ばれて手招きされた。
私は黒尾くんのもとに寄って行った。
そう言って私にバレーボールを渡してきた。
今日の球拾いで初めてボールに触っただけだったから、改めて触ると意外に軽いんだなと感じた。
黒尾くんはボールを体育館の壁に当ててオーバーの構えでトントンと壁打ちした。
私は言われるがまま両腕を挙げた。
黒尾くんが背後に回り、後ろから私の手首を優しく掴みトスをする時の腕や手首の角度に動かしてくれた。
…なんだか初めてのバレーだし、何より…
黒尾くんがち、近い…
急に恥ずかしくなって萎縮してしまった。
ちらっと振り返ると黒尾くんがニヤッと笑っていた。
私はすぐ前を向いた。
自分の手に絡まる黒尾くんの大きくて長い指…
うぅ…なんか意識がボールじゃなくて黒尾くんに向いてしまう…
男の人にこんな風に触れられたことないし…
ダメダメ!集中…集中…
トスの構えから、黒尾くんが私の手にボールを置いてくれた。
初めてやるトス。
私は目の前の壁に優しくボールを押し出して壁に当てた。
すぐボールが自分の手元に帰ってきて、ひとまずキャッチした。
なんとなくわかった。
私はさっき黒尾くんがお手本で見せてくれたのをイメージして、もう一度やってみる。
トントントン…
3回できた!
転がっていったボールを拾って黒尾くんのもとに戻った。
3年ズは、「恋」の始まりの予感を温かく見守ることにした。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。