マネージャーとしての初日を迎えた。
私は、バレーボールの素人。
それでも、練習風景からわかるチームワーク、お互いがお互いを信頼している姿、私は音駒バレー部の良さを守りたい。
私は前半は猫又先生の横に座り、メモを取りながら練習を見学させてもらった。
部員の名前やポジション、各々の役割や得意分野など、自分が気がついたことはどんどんメモにとっていった。
後半はマネージャーとしての仕事を早速やっていく。
後輩部員がタオルやドリンクなどせっせと準備しているのを見て、私は駆け寄った。
芝山くんに一通り教えて貰って、メモをとっていく。
ついでに洗濯機の場所なども教えてもらった。
ドリンクの作り方は私が陸上やっていた時に慣れてるから大丈夫そう。
俺は練習しながら、たまにあなたの名字の様子を見ていた。
めちゃくちゃメモとってんな…ホント真面目だな。
そのあとは、芝山と何やら話をしていて恐らく休憩のための準備のこととか聞いてんだろうな。
いかんいかん、顔にまで出てたとは…。
でも、なんだか生き生きとしているあなたの名字を見て、やっぱり諦めずにバレー部に引き込んでよかった。
マネージャーの打診をした時に教室で見たあなたの名字の涙。
その悔しさが少しでもここで新しい自信になってくれればいい。
スパイク練習が始まり、後輩たちが球拾いのため反対側のコートに回る。
私も一緒に球拾いしようと立ち上がった。
普段みんながどんなボールの威力を体感してるのか知りたい。
そんな思いでコートのエンドに立った。
そして、スパイク練習が始まった。
研磨くんの綺麗に上がったトスを山本くんがスパイクを放つ。
バシィィィイ!!!!
勢いよく反対側のコートに叩きつけられたボールが跳ね返って宙を舞う。
す、すごい…すごい迫力。
コート外で見てるのと全然また違う!!
その後も海くんや福永くんがバシバシ決めていく。
そして…
黒尾くんが高く飛び、スパイクを打つ。
バシィィィイ!!!!
すごい!黒尾くんサーブもすごいけどスパイクもすごい!!
よし!!私も球拾いやろ!!
どんどん放たれるスパイク。
バウンドしてからコロコロ転がるボールを回収してカゴに入れていく。
相手から見たスパイクってホントにすごい。これを拾ってボールを繋いでいくんだもんね。
その時、山本くんが強烈な一打を放つ。
バシィィィイ!!!!
今日一のバウンドでボールが高く上がる。
無意識だった。
ボールキャッチしなきゃって思って勝手に身体が動いた。
私は踏み切ってボールが落ちてくるところに向かって跳んだ。
一気に体育館の天井が近くなる。
あの時の感覚…
走高跳で跳躍した時に感じる自分に羽が生えたようなあの感覚。
そして、ボールが手に届きキャッチをし、足に負担にならないように静かに着地した。
あれ…??
なんかみんな静かに…
芝山くんと犬岡くんが興奮気味に話しかけてきた。
私はさっきキャッチしたボールを見つめて俯いた。
出しゃばったことしてしまった…恥ずかしい…
俺はズカズカとあなたの名字のもとへ歩いた。
すると、あなたの名字が俺に気づきビクついていた。
俺に怒られるとでも思ったのか、鳩が豆鉄砲くらったような顔をしていた。
きっと条件反射だったのだろう。
悲しげな顔でうつむくあなたの名字の頭にポンと手を乗せた。
あなたの名字がパッと顔を上げてビックリした表情で俺を見あげた。
そして、笑顔になった。
思わずドキッとしてしまった俺はとっさに顔を背けた。
あなたの名字は笑顔で頷いた。
「走高跳の白兎」
間近で目の当たりにした全国一の跳躍…
俺は心の中でほくそ笑んだ。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!