第15話

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2024/11/22 14:10 更新
マネージャーとしての初日を迎えた。
私は、バレーボールの素人。
それでも、練習風景からわかるチームワーク、お互いがお互いを信頼している姿、私は音駒バレー部の良さを守りたい。
あなた
よし…!!
私は前半は猫又先生の横に座り、メモを取りながら練習を見学させてもらった。
部員の名前やポジション、各々の役割や得意分野など、自分が気がついたことはどんどんメモにとっていった。
後半はマネージャーとしての仕事を早速やっていく。
後輩部員がタオルやドリンクなどせっせと準備しているのを見て、私は駆け寄った。
あなた
芝山くん!
芝山
あ、あなたの名字先輩!!
あなた
いつもどうしてるか教えて貰えるかな…?
芝山
は、はい!!
芝山くんに一通り教えて貰って、メモをとっていく。
ついでに洗濯機の場所なども教えてもらった。
ドリンクの作り方は私が陸上やっていた時に慣れてるから大丈夫そう。
あなた
うん、わかった!教えてくれてありがとう!
明日からは私が全部やるから、芝山くんたち1年生も練習に専念してね。
芝山
あ、ありがとうございます!!
助かります!
黒尾
おい!!リエーフ!!
バンザイブロックすんなっつってんだろ!!
リエーフ
は、はい!!さーせん!!
黒尾
ったく…。
俺は練習しながら、たまにあなたの名字の様子を見ていた。
めちゃくちゃメモとってんな…ホント真面目だな。
そのあとは、芝山と何やら話をしていて恐らく休憩のための準備のこととか聞いてんだろうな。
研磨
…クロ。ニヤニヤし過ぎ…気持ち悪い。
黒尾
はぁ?!?!
ニヤニヤしてねぇし!!!!
いかんいかん、顔にまで出てたとは…。
でも、なんだか生き生きとしているあなたの名字を見て、やっぱり諦めずにバレー部に引き込んでよかった。

マネージャーの打診をした時に教室で見たあなたの名字の涙。

その悔しさが少しでもここで新しい自信になってくれればいい。
スパイク練習が始まり、後輩たちが球拾いのため反対側のコートに回る。
私も一緒に球拾いしようと立ち上がった。
黒尾
あなたの名字!!
結構危ねぇから見てていいぞ!!
あなた
大丈夫!!
スパイクの威力も体感してみたいからやらせて!!
黒尾
お、おぅ…!!
無理はすんなよ!!
普段みんながどんなボールの威力を体感してるのか知りたい。
そんな思いでコートのエンドに立った。
犬岡
あなたの名字先輩!たぶん最初びっくりすると思うんでまず見ててもらった方がいいっすよ!!
あなた
うん!わかった!
そして、スパイク練習が始まった。
研磨くんの綺麗に上がったトスを山本くんがスパイクを放つ。


バシィィィイ!!!!


勢いよく反対側のコートに叩きつけられたボールが跳ね返って宙を舞う。
全員
山本ナイスキー!!!!
山本
っしゃぁあ!!オラァ!!
す、すごい…すごい迫力。
コート外で見てるのと全然また違う!!

その後も海くんや福永くんがバシバシ決めていく。

そして…
黒尾
研磨!!こい!!
黒尾くんが高く飛び、スパイクを打つ。

バシィィィイ!!!!
全員
黒尾さんナイスキー!!!!
すごい!黒尾くんサーブもすごいけどスパイクもすごい!!


よし!!私も球拾いやろ!!
犬岡
あなたの名字先輩、大丈夫ですか?!
あなた
うん!大丈夫!
こんなことでビビってたら何も出来ないしね!
どんどん放たれるスパイク。
バウンドしてからコロコロ転がるボールを回収してカゴに入れていく。
相手から見たスパイクってホントにすごい。これを拾ってボールを繋いでいくんだもんね。

その時、山本くんが強烈な一打を放つ。


バシィィィイ!!!!


今日一のバウンドでボールが高く上がる。
あなた
あ…。
無意識だった。
ボールキャッチしなきゃって思って勝手に身体が動いた。
私は踏み切ってボールが落ちてくるところに向かって跳んだ。
一気に体育館の天井が近くなる。

あの時の感覚…

走高跳で跳躍した時に感じる自分に羽が生えたようなあの感覚。

そして、ボールが手に届きキャッチをし、足に負担にならないように静かに着地した。
全員
………。
あれ…??
なんかみんな静かに…
芝山
あなたの名字先輩!!すごい跳躍力ですね!!
めちゃくちゃ高かったです!!さすがですね!!
あなた
え。
犬岡
バレー部に向いてますね!!そのバネめちゃくちゃ貴重っすよ!!
芝山くんと犬岡くんが興奮気味に話しかけてきた。
あなた
え、う、ううん!全然すごいとかじゃないよ!!
私はさっきキャッチしたボールを見つめて俯いた。
出しゃばったことしてしまった…恥ずかしい…
夜久
さすが、兎なだけあるな。
まだまだ現役いけるんじゃないかってくらいだな。
黒尾
ちっ…。
俺はズカズカとあなたの名字のもとへ歩いた。
すると、あなたの名字が俺に気づきビクついていた。
黒尾
お前なぁ…。
あなた
ご、ごめんなさい!!
でしゃばったことしちゃって!!
黒尾
…そんなことはどうでもいい。
足は…大丈夫か?
あなた
へ??
俺に怒られるとでも思ったのか、鳩が豆鉄砲くらったような顔をしていた。
あなた
大丈夫です…ご心配おかけしました…。
黒尾
それならいい。
きっと条件反射だったのだろう。
悲しげな顔でうつむくあなたの名字の頭にポンと手を乗せた。
黒尾
一生懸命なのはわかる。
でも、何回も言ってる通り無理はするな。
足の負担になる。
あなた
はい…気をつけます…。
黒尾
でも、ホームラン並にボール飛んでいきそうだったら…その時は頼むぜ、「兎さん」ニヤ
あなたの名字がパッと顔を上げてビックリした表情で俺を見あげた。
そして、笑顔になった。
思わずドキッとしてしまった俺はとっさに顔を背けた。
あなた
うん!了解です!
黒尾
ただし!!すぐ足に違和感感じたら俺に言え。
わかったか??
あなたの名字は笑顔で頷いた。
黒尾
よろしい!!
よし、練習再開!!
全員
うぃーーーーっす!!!!



「走高跳の白兎」

間近で目の当たりにした全国一の跳躍…

俺は心の中でほくそ笑んだ。

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