第19話

ジャージ
356
2024/12/20 04:33 更新
土曜日の朝6時…。

私は家のキッチンに立っていた。

今日はマネージャーになって初めての土曜日。
そして朝から夕方まで部活。
あなた
~♪
私は鼻唄を唄いながら、おにぎりを握っていた。
自分のお昼ご飯用っていうのもあるけど、部員にもひとり一個だけど作って持っていこうと思ってたくさん握った。
あなた
…よし!こんな感じかな。
1つずつ丁寧にラップにくるんで大きなタッパーに詰めていく。
具は好き嫌いあるといけないから梅干し一択にした。
梅干しは疲れた身体にもいいからね。
んふふ♪はりきってるわね!
あなた
うん!久しぶりにおにぎり握ったかも。
しばらくお母さんに任せきりだったからね。
みんなに喜んでもらえるといいわね♪
あなた
そうだといいな!完全にお節介だけどね。
あ、こっちはお父さんの朝ご飯用ね!お味噌汁も作ってあるから!
ありがとう!お父さん喜ぶわ♪
ところであなたの下の名前…
あなた
ん?なに?
いつもうちまであなたの下の名前を送ってくれてる背の高い男の子はバレー部の子?
あなた
へっ…?!?!
あ…う、うん!!バレー部のキャプテン!
同じクラスなんだ!
お母さんに見られてた…泣
あらーそうなの!今度ご挨拶しないとね!
あなた
もー!!挨拶とかいいから!!
じゃぁ、私もう行かなきゃだから行ってくるね!!
はいはい♪今日も頑張ってね!
お母さんから逃げるように玄関に準備しておいた荷物を持って家を出た。

あーーー恥ずかしい…うぅ…
まぁいつかはバレると思ってはいたけどこんなに早く黒尾くんに送ってもらってることがバレるとは…

自転車を引っ張り出して学校に向かった。
あなた
今日もいい天気だなぁ…。
お昼には1回みんなのタオルとか洗濯しよっと!
黒尾
うーーーっす。
犬岡
あ!黒尾さん!おはざぁす!!
山本
おはざぁす!!!!
俺は研磨と部室で着替えて体育館に入った。
体育館を見渡して、大体全員来てることを確認した。
黒尾
またリエーフ来てねぇじゃねぇか。
夜久
あいつはもうマイペースの度が過ぎてる…はぁ…。
後輩なんだから早く来いよな、まったく…。
研磨
あなたの名字さんもまだ来てないね。
黒尾
まぁまだ開始まで時間あるからな。
俺たちはストレッチしながら、各々開始時間までウォーミングアップをしていた。
あなた
おはようございます!
全員
おはざぁす!!!!
あなたの名字が体育館に入ってきた。
猫又先生と直井コーチに駆け寄り挨拶してからこっちに走ってきた。
あなた
黒尾くんおはよ!
今日もよろしくお願いします!
黒尾
おぅ!!今日も頼んだぜ!!
あなた
うん!じゃぁ、いろいろ準備あるから!
そう言って、テキパキとマネージャーの仕事をし始めた。
あなたの名字が動き回るのをつい目で追ってしまう…。
研磨
……クロ。見過ぎだよ…。
黒尾
ギクっ…!
み、見てねぇし!!お前、人をゴミを見るような目で見んな!
眉間に皺を寄せた表情のまま研磨はスタスタと歩いていってしまった。
いかんいかん…集中集中…。
リエーフ
おはざぁぁぁあす!!!!
あなた
あ、リエーフくんおはよ!
リエーフ
あ!あなたの名字先輩!おはざぁす!!
夜久
リエーフてめぇいつも来るの遅せぇんだよ!!
リエーフ
いだっ!!!!夜久さん酷い!!!!
朝から回し蹴りなんて!!
あなた
り、リエーフくん大丈夫?!
夜久
あなたの名字!リエーフのことは一切甘やかすなよ!
リエーフ
また酷いこと言ってるじゃないっすかー!!
いつも見慣れている光景も、あなたの名字がいると微笑ましく見えるもんだな。
黒尾
よーーーし!集合!!!!
今日もバレー部の一日が始まる。
時刻は正午。
午前の練習が終わり、昼休憩の時間になった。
あなたの名字さん、今日天気いいから皆で中庭でお昼食べようって!あなたの名字さんも一緒にどう?
海くんが笑顔でお昼一緒に食べようと誘ってくれた。
あなた
ありがとう!うん!私も一緒にみんなとお昼食べる!
じゃぁ、中庭で待ってるね!
みんなとお昼ご飯!
初めてだからドキドキするけど嬉しい!

私は更衣室にお弁当を取りに行った。
忘れずに今朝みんなの分にと握ったおにぎりも持って中庭に向かった。
芝山
あなたの名字先輩!こっちですよー!
芝山くんが大きな声で呼んでくれた。
もうみんな来ていて、急いで駆け寄った。
あなた
ごめんなさい!遅くなって!
黒尾
あなたの名字!お前はここ!
黒尾くんが自分の隣に来いと芝生をバシバシ叩いた。
私は言われた通り黒尾くんの横にストンと座った。
黒尾
てか、お前荷物多くね??
あなた
へ??
あ、えっと、よかったらみんなこれ食べて!
ひとり一個しか握れなかったけど…。
私はタッパーを開けて今朝握ったおにぎりをみんなに見せた。

わぁーーーー!!っと歓声が上がる。
犬岡
あなたの名字先輩あざぁす!!
山本
うぉーーー!!女子マネージャーが握ってくれたおにぎり!!!!
芝山
午後の練習も頑張れますね!!
皆がこんなに喜んでくれるなんて思ってなかったから嬉しかった。
高校生はまだまだ成長盛り、ましてや運動部だから夕方前にはお腹が空いてしまう。
少しでも足しになればと思って作ってきたけどよかった。
あなた
はい、黒尾くんもどうぞ!
黒尾
おぅ、サンキュー!
(やべぇ…もったいなくて食えねぇ…←)
あなた
夜久くんと、海くんもどうぞ!
夜久
ほんとあなたの名字は気が利くなぁ!
ありがと!
あなたの名字さん、ありがとう!
いただきます!
皆、自分たちが持参したお弁当を食べながら、私が握ったおにぎりも頬張ってくれて、その様子を見てるのが微笑ましかった。

私も自分のお弁当箱を開けて食べ始めた。
みんなで青空の下、ワイワイ食べるのが楽しい。
黒尾
お前、弁当も自分で作ってきたのか?
あなた
うん、そうだよ!陸上やってた頃はお母さんに任せきりだったけど、怪我してからは自分で作るようにしてるの。
黒尾
へぇーすげぇな!
…そして、隙あり!!
あなた
あっ!!
黒尾くんが私のお弁当から卵焼きを1つ奪って口に放り込んだ。
黒尾
…うま。
味付け俺好み!ニヤ
あなた
ちょっと!!わたしの!!
そして、黒尾くんは私の握ったおにぎりも頬張った。
黒尾
いい塩加減〜♪
お前、料理上手だな!
そう言われて私は顔の温度が上がる感覚がして、多分絶対今顔真っ赤だと思い、下を向いた。




楽しいお昼の時間が終わり、みんなで体育館に戻った。
さぁて、午後もやることいっぱいだから頑張ろ!!
ドリンクと新しいタオルの準備、洗濯、記録、ボール拾いやボール上げ。

こんなに一日が充実してるなんていつぶりだろう。
洗濯したタオルを干しながら、青空を見上げた。
そして、4月の終わりが近いある日…

いつも通り部活を終えて更衣室で着替えていた。
早く出ないと黒尾くんを待たせてしまう。
ササッと荷物をまとめて更衣室を出た。

すると、体育館の出入口のところに黒尾くんが手招きして立っていた。
あなた
いつも待たせてごめんね!
黒尾
んなこと気にすんな!
帰る前にあなたの名字に渡したいものがあるんだ。
そう言って手に持っていた紙袋を私に渡してきた。
あなた
何??
黒尾
まぁ開けてみろって!ニヤ
私は紙袋に手を入れて中に入っているものを取り出した。
あなた
え…これ…。
取り出したものは、「NEKOMA」とロゴが入ったバレー部の真っ赤なジャージだった。
黒尾
今日届いたばかりなんだ。
仮入部期間は終わり!
あなたの名字は今この瞬間から正式にバレー部の一員だ!これからはこれを着てマネージャー頼むぜ!
私はジャージを見つめて、込み上げてくるものをこらえることが出来ず涙した。
黒尾
お、おい!!どうした?!
大丈夫か?!
あなた
あ、ごめん…!!ち、違うの!!
これは、その、う…嬉しすぎて…嬉し泣き!!
私はまた、部活は違うけど音駒のジャージを着てバレー部のみんなと闘えることが…本当に嬉しくて…。
その瞬間…



黒尾くんに手首を掴まれてグンっと引き寄せられ…



力強く抱きしめられていた…。

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