土曜日の朝6時…。
私は家のキッチンに立っていた。
今日はマネージャーになって初めての土曜日。
そして朝から夕方まで部活。
私は鼻唄を唄いながら、おにぎりを握っていた。
自分のお昼ご飯用っていうのもあるけど、部員にもひとり一個だけど作って持っていこうと思ってたくさん握った。
1つずつ丁寧にラップにくるんで大きなタッパーに詰めていく。
具は好き嫌いあるといけないから梅干し一択にした。
梅干しは疲れた身体にもいいからね。
お母さんに見られてた…泣
お母さんから逃げるように玄関に準備しておいた荷物を持って家を出た。
あーーー恥ずかしい…うぅ…
まぁいつかはバレると思ってはいたけどこんなに早く黒尾くんに送ってもらってることがバレるとは…
自転車を引っ張り出して学校に向かった。
俺は研磨と部室で着替えて体育館に入った。
体育館を見渡して、大体全員来てることを確認した。
俺たちはストレッチしながら、各々開始時間までウォーミングアップをしていた。
あなたの名字が体育館に入ってきた。
猫又先生と直井コーチに駆け寄り挨拶してからこっちに走ってきた。
そう言って、テキパキとマネージャーの仕事をし始めた。
あなたの名字が動き回るのをつい目で追ってしまう…。
眉間に皺を寄せた表情のまま研磨はスタスタと歩いていってしまった。
いかんいかん…集中集中…。
いつも見慣れている光景も、あなたの名字がいると微笑ましく見えるもんだな。
今日もバレー部の一日が始まる。
時刻は正午。
午前の練習が終わり、昼休憩の時間になった。
海くんが笑顔でお昼一緒に食べようと誘ってくれた。
みんなとお昼ご飯!
初めてだからドキドキするけど嬉しい!
私は更衣室にお弁当を取りに行った。
忘れずに今朝みんなの分にと握ったおにぎりも持って中庭に向かった。
芝山くんが大きな声で呼んでくれた。
もうみんな来ていて、急いで駆け寄った。
黒尾くんが自分の隣に来いと芝生をバシバシ叩いた。
私は言われた通り黒尾くんの横にストンと座った。
私はタッパーを開けて今朝握ったおにぎりをみんなに見せた。
わぁーーーー!!っと歓声が上がる。
皆がこんなに喜んでくれるなんて思ってなかったから嬉しかった。
高校生はまだまだ成長盛り、ましてや運動部だから夕方前にはお腹が空いてしまう。
少しでも足しになればと思って作ってきたけどよかった。
皆、自分たちが持参したお弁当を食べながら、私が握ったおにぎりも頬張ってくれて、その様子を見てるのが微笑ましかった。
私も自分のお弁当箱を開けて食べ始めた。
みんなで青空の下、ワイワイ食べるのが楽しい。
黒尾くんが私のお弁当から卵焼きを1つ奪って口に放り込んだ。
そして、黒尾くんは私の握ったおにぎりも頬張った。
そう言われて私は顔の温度が上がる感覚がして、多分絶対今顔真っ赤だと思い、下を向いた。
楽しいお昼の時間が終わり、みんなで体育館に戻った。
さぁて、午後もやることいっぱいだから頑張ろ!!
ドリンクと新しいタオルの準備、洗濯、記録、ボール拾いやボール上げ。
こんなに一日が充実してるなんていつぶりだろう。
洗濯したタオルを干しながら、青空を見上げた。
そして、4月の終わりが近いある日…
いつも通り部活を終えて更衣室で着替えていた。
早く出ないと黒尾くんを待たせてしまう。
ササッと荷物をまとめて更衣室を出た。
すると、体育館の出入口のところに黒尾くんが手招きして立っていた。
そう言って手に持っていた紙袋を私に渡してきた。
私は紙袋に手を入れて中に入っているものを取り出した。
取り出したものは、「NEKOMA」とロゴが入ったバレー部の真っ赤なジャージだった。
私はジャージを見つめて、込み上げてくるものをこらえることが出来ず涙した。
その瞬間…
黒尾くんに手首を掴まれてグンっと引き寄せられ…
力強く抱きしめられていた…。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!