帰宅しようとした時に突然現れた黒尾くん。
そして突然言われたマネージャーの打診。
混乱して次の言葉が見つからない。
「走高跳の白兎」
高校1年の時に全国優勝した時にメディアにそう取り上げられた。
中学の時から様々な大会で結果を残してきた。
でも、それはもう過去の栄光でしかない。
そして結果よりも私が走高跳をやっていたのは…
昨日、泣きじゃくる子どものために風船を取るためにものすごい跳躍力で跳んだあなたの名字の顔…
「跳べた」
という生き生きとした顔だった…
私が走高跳をやっていた理由…
それは…
飛んだ時に見える空が好きだったから…
結果よりも空が好きだったから…
あれ…勝手に涙が…
あ、あれ…?
私は黒尾くんの肩に担ぎ上げられた。
私は黒尾くんに拉致されてどこかへ物凄い勢いで連れていかれた。
もう、なんなの…??
いろいろ突然過ぎて混乱する…
てか、途中途中ですれ違う生徒たちの視線が痛すぎて恥ずかしい…
ガラガラ!!!!
私にポンと投げてきたのは黒尾くんのジャージの下。
なんで??と思ったけど言われるがまま履いた。
私は肩に担がれた次には肩車された…
そのままコートの端まで連れていかれた。
肩車なんて小さい時にお父さんにしてもらって以来だから怖くて目を閉じてしまった。
私はうっすら目を開けると、密室なのにザッと風を感じコートが一望できた。
その時、先日こっそりバレー部の練習を覗き見した時に黒尾くんがサーブを打っていた位置にいることに気づいた。
そして天井も見上げると天井が近く感じ、照明がキラキラしていた。
これがバレーボールのコート…
バレーボールの目線…
バレーボールの「空」…
そして、やっと黒尾くんが私を下ろしてくれた。
しゅんとなってた黒尾くんの表情が、いつものいたずらっぽいニヤっとした笑顔になって、私の頭をポンポンした。
私はジャージを黒尾くんに返して帰宅の途についた。
来いよ、あなたの名字。
俺達にはお前が必要だ。
そして…何より俺にとっても…












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!