第6話

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2024/11/08 06:38 更新
黒尾
お前…バレー部のマネージャーやらね?
あなた
へっ????
マネージャー????
帰宅しようとした時に突然現れた黒尾くん。
そして突然言われたマネージャーの打診。
混乱して次の言葉が見つからない。
あなた
な、なんで、私…?
黒尾
「走高跳の白兎」
あなた
ビクッ……
黒尾
あなたの名字、お前すげぇ選手だったんだな。
あなた
…もう過去の話だよ。私はもう走高跳は辞めた。だからもう関係ないよ。
「走高跳の白兎」
高校1年の時に全国優勝した時にメディアにそう取り上げられた。
中学の時から様々な大会で結果を残してきた。
でも、それはもう過去の栄光でしかない。

そして結果よりも私が走高跳をやっていたのは…
あなた
私は、バレーボールのこと全然何も分からないし、力にはなれないよ。それに受験も今年はあるしいい機会だと思って陸上も辞めた。
黒尾
………。
あなたの名字さ、お前本当はもっと飛びたいんだろ?
あなた
?!
な、何言ってるの…?
黒尾
スポーツ選手にとって選手生命に関わる怪我のリスクはついて回るものだ。
お前は、「辞めたい」から辞めたんじゃない。「辞めざるを得ないから辞めた」んだ。
昨日、泣きじゃくる子どものために風船を取るためにものすごい跳躍力で跳んだあなたの名字の顔…

「跳べた」

という生き生きとした顔だった…
あなた
く、黒尾くんに私の何がわかるの?!
黒尾
あなたの名字がすげぇ選手だったこと、怪我を理由に辞めたくらいしかわからねぇ。
でも、お前がスポーツ選手だったからこそ、身体の使い方や栄養の摂り方、筋肉の付け方…あなたの名字には活かせる知識がめちゃくちゃあるんだよ。
あなた
な、なにを勝手なこと…
黒尾
飛べなくなって、結果が残せないから辞めたんじゃないんだろ、お前。
あなた
え……。
私が走高跳をやっていた理由…

それは…

飛んだ時に見える空が好きだったから…

結果よりも空が好きだったから…
あなた
わ…わたしは…
あれ…勝手に涙が…
あ、あれ…?
黒尾
(やべ!!泣かせた!!)
あなた
黒尾くん…すごいね…お見通しだよ。
まだまだ飛びたかった…
私は飛んだときに見える空が好きだったから、走高跳やってたの。
その景色をもう私は見れない。
黒尾
…あなたの名字…ちょい失礼。
あなた
え?!って、うわっ!!!!
私は黒尾くんの肩に担ぎ上げられた。
あなた
ちょ、ちょっと!!どこ行くの?!
下ろして!!
黒尾
いいからいいから!!
私は黒尾くんに拉致されてどこかへ物凄い勢いで連れていかれた。
もう、なんなの…??
いろいろ突然過ぎて混乱する…
てか、途中途中ですれ違う生徒たちの視線が痛すぎて恥ずかしい…


ガラガラ!!!!
あなた
え…体育館…?
黒尾
すまん!!遅くなった!!
全員
?!?!?!?!?
研磨
はぁ…クロ…何してんの?
とりあえず早く下ろしてあげなよ…
黒尾
あなたの名字すまん、言葉より見てもらった方が早いから、ちょっと強引に…よいしょ…
あなた
はぁ…なんで体育館に…
黒尾
ほい!これスカートの下に履け!
私にポンと投げてきたのは黒尾くんのジャージの下。
なんで??と思ったけど言われるがまま履いた。
あなた
これでいいの…??
黒尾
よし!!んじゃまたちょっと失礼!!
よいしょ!!
あなた
え?!ちょっと!!うわぁ!!
私は肩に担がれた次には肩車された…
そのままコートの端まで連れていかれた。
肩車なんて小さい時にお父さんにしてもらって以来だから怖くて目を閉じてしまった。
黒尾
あなたの名字、見てみろ。
私はうっすら目を開けると、密室なのにザッと風を感じコートが一望できた。

その時、先日こっそりバレー部の練習を覗き見した時に黒尾くんがサーブを打っていた位置にいることに気づいた。
あなた
…すごい……高い。
そして天井も見上げると天井が近く感じ、照明がキラキラしていた。
黒尾
俺がサーブ打つ時はもっと目線高ぇぞ!
これがバレーボールのコート…
バレーボールの目線…
バレーボールの「空」…
あなた
これが、バレーボールの世界…
そして、やっと黒尾くんが私を下ろしてくれた。
黒尾
あなたの名字が好きな空とは違ぇけど、こういう「空」もあるんだぜ。
…俺たちは全国へ行く。あなたの名字にも今まで見たことない「空」を見せてやる。返事は今すぐじゃなくてもいい。
あなた
黒尾くん…
あ、ありがと…ちょっと考えるね…
黒尾
あと…さっき教室で挑発みたいなこと言ってすまん…泣かせるつもりじゃなかったんだ…ほんと、すまん!
あなた
え…!あ、あれは、私が勝手に泣いただけだから!!黒尾くんは何も悪くない!!
それに…言ってくれたことは図星だったし。
私、強がってただけだったんだって気づいたよ…
ありがとう!
しゅんとなってた黒尾くんの表情が、いつものいたずらっぽいニヤっとした笑顔になって、私の頭をポンポンした。
黒尾
いつでも見学OKだから、気晴らしでもいいから見に来いよ。
あなた
…うん!ありがとう!
私はジャージを黒尾くんに返して帰宅の途についた。
研磨
…クロ、あなたの名字さんのこと泣かせたの?
黒尾
ち、ちげぇよ!泣かせるつもりじゃなかったんだ!
夜久
どうせいつもの感じでいろいろ言ったんだろ、デリカシーってものがねぇのかよー
研磨
てか、やり方強引すぎ…あなたの名字さんに怖がられるよ…
黒尾
いや…今日はこれでいいんだ…あいつにダイレクトに伝えるにはこれでよかったんだ…
来いよ、あなたの名字。
俺達にはお前が必要だ。
そして…何より俺にとっても…

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