目の前に見えていた10万円が、
ゆっくりと散っていくみたいだった。
そして漫画のように、
私はその場へ膝から崩れ落ちた。
KASSEN後
私は緊張の糸が切れたのか、
寝る間も惜しんで練習したからか、
バイト疲れからくる疲労なのか、
スマコンを付けたまま眠った。
そんな私には、この場で流れ続ける
投げ銭なんて気づけない。
それとブラックオニキス内で
交わされた話も、知る由もなかった。
ブーブー
気持ちよく眠っていた安楽の
世界にスマホの通知音が響いて、
意識はゆっくりと浮上していく。
机に突っ伏すように眠っていたからか
体のあちこちが痛くて、小さく伸びを
しながらスマホを手に取った。
時刻は " 9時46分 " 。
不在着信は3件。
新聞配達から2件と、工場からの1件。
そう。
私は奇跡の8時間睡眠をしたと同時に、
新聞配達のバイトを寝過ごし、
工場バイトにも遅刻していた。
そして焦って準備しようと立ち上がった時、
自分の瞳にスマコンが付いていることに
気づいた。
色々とやらかしたな……なんて思いながら
スマコンを外し、配信画面を見ると
そこにはバイトを寝過ごした今くらい
驚きの光景が広がっていた。
いち、じゅう、ひゃく、せん、まん……
なんと昨夜の帝とのKASSEN配信で、
私のチャンネルへの投げ銭総額が
10万円を超えていたのだ。
脳裏にスマコンの値段が浮かぶ。
意味がわからなくて何回も目を擦っても、
そこには変わらず表示される12万ふじゅ~。
ブーブー
整理できない頭で
そう結論付けようとした時、
工場からの電話がかかってきて
あぁ、これは現実なんだ…って、
そう思う他なかった。
そして、優しくお説教されながら
とりあえず私は切り替えてバイトへ向かった。
新作です 🪄
良ければどうぞ。
それと、デイリーファンタジーランキング 13位
ありがとうございます ~ 🥹💓 大感謝です。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。