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第6話

 5 . さようなら、幻想郷
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2024/04/20 02:28
さあぁっと雨粒が魔理沙の顔に当たり、涙と混ざって頬を伝う。
腕に抱いた霊夢は相変わらず動くことは無く、魔理沙はぎゅっと唇を噛んだ。
 魔理沙 .
 魔理沙 .
...なんでこんなことになったんだろ。
ふと魔理沙が辺りを見渡しても、そこにはレミリアの姿は無い。
どうやら魔理沙のために何処かへ行ったようで、その場はシンと静まっていた。
 魔理沙 .
 魔理沙 .
....レミリアって、なんだかんだ言って優しいよな。
にこやかな笑みで、魔理沙は今まで起きた思い出を霊夢に聞かせる。
幽々子が桜を満開に咲かせるために春を奪ったこと、レミリアたちが空を真っ赤にして大暴れしたこと。
 魔理沙 .
 魔理沙 .
どっかの氷の妖精が暴走したりしてさ...
先程まで降っていた雨は次第に強くなり、地面に思いっきり当たった雨粒はじわりと染みる。
そんな中、倒れた少女を抱いて思い出話をする魔法使いは、ただただ哀れでみじめだった。
 魔理沙 .
 魔理沙 .
....私だってわかってるよ。
 魔理沙 .
 魔理沙 .
どれだけ楽しい思い出を語っても、お前霊夢が帰ってこないこと...ッ
魔理沙が流した涙は、ぴちゃんと霊夢の頬に落ちる。
それと同時に、大きな影が覆い被さって、驚きと恐怖を魔理沙に与えた。
 悟 .
 悟 .
こんにちは、霧雨魔理沙ちゃん。
少し冷たい、でも柔らかな声で、悟はそう言う。
 魔理沙 .
 魔理沙 .
...お前、誰だ?
魔理沙の反応は当たり前なことだ。
見ず知らずの、黒い服を纏った人間など普通は幻想郷にいないのだから。
 悟 .
 悟 .
あはは、ここの人たちって警戒心がほんと強いね。
サングラス越しに映る透き通った瞳を見て、魔理沙は少しびくりと反応する。
なんせ、今まで見たことない程の美しさでありながら、何処か冷たく鋭い感じがしたからだ。
そしてその輝かしい瞳は魔理沙を見て、にへらと笑って質問に答えた。
 悟 .
 悟 .
僕の名前は五条悟、幻想郷の悪夢を解決するヒーローだよ。
そんな嘘で塗りたくられていそうな台詞セリフに、魔理沙は疑いの目で見つめた。
 魔理沙 .
 魔理沙 .
で、私に何の用だ?
 魔理沙 .
 魔理沙 .
死人にすがってる魔法使いに、ヒーローが何故話しかけてくるんだ?
我ながら性格が悪いなと思いながら、哀れな魔法使いはヒーローに皮肉を吐く。
でも悟は顔をしかめることも無く、優しそうな表情で見つめた。
 悟 .
 悟 .
...その子は友達?
力無く横たわり、魔理沙の腕の中で眠っている霊夢を見て、悟はそう尋ねる。
 魔理沙 .
 魔理沙 .
ああ...私の大親友だ。
 悟 .
 悟 .
...そっか。
悟は少し考えるような素振りを見せると、静かにこう言った。
 悟 .
 悟 .
じゃあさ、その子を助けられる方法があるって言ったら...信じる?
すると魔理沙は俯いていた顔をサッと上げた。
そしてとても驚いた顔付きで、でも再び疑いの眼差しで口を動かす。
 魔理沙 .
 魔理沙 .
ああ...もし霊夢相棒を生き返らせる方法があるなら、地獄の果てまで行くさ。
その言葉を聞いた悟は、にこりと嬉しそうに笑った。
 悟 .
 悟 .
じゃあ、君は今日から呪術師だ。
 魔理沙 .
 魔理沙 .
...は?
多分この出来事は、魔理沙が今まで生きてきた中で1番の衝撃だっただろう。
 魔理沙 .
 魔理沙 .
じゃあつまり、私がその『ジュジュツコーセン』に行けば霊夢を生き返らせてくれるってことか?
 悟 .
 悟 .
うん、呑み込みが早くて助かるよ。
にぱっと笑う悟を見つめながら、魔理沙は説明されたことをまとめる。
どうやら魔理沙には魔力だけで無く呪力も有り、その力はとても強力らしい。
 魔理沙 .
 魔理沙 .
(幻想郷ここから離れたら、もうあいつらとも会えない...)
大切な人を取るか、自分の居場所を取るか。
そんな難しい選択を迫られた魔理沙は、唾を飲み込むと悟に自分の選んだ道を言った。
 魔理沙 .
 魔理沙 .
...私は呪術師になる。
 魔理沙 .
 魔理沙 .
それで良いんだよな?
魔理沙の真剣な目を見て、悟はにこっと笑う。
 悟 .
 悟 .
...そう言うと思ってた。
悟の海のように深く、空のように青い瞳は、ただただ魔理沙を見つめている。
それがなんだか恐ろしくて、魔理沙は逃げるように霊夢の方へと目を逸らした。
はい何度目の登場か忘れた永遠です!!!!!←
やっと幻想郷編が終わり、次は呪術高専編となります😚まじぼこ疲れた...
折角なので小説内の設定について書いていきたいと思います!!!
良ければ最後まで見てほしいナ....🥺🥺🥺
幻想郷...人間、妖怪、神...と様々な種族が暮らす理想の場所。“現実”から忘れ去られた者のみが存在出来、その他の者は少しの間でしか存在できない。
霧雨 魔理沙...みんなから愛され、楽しく幻想郷で過ごしていた普通の魔法使い。だが、“異変”によって彼女は呪術師となり、幻想郷から出る運命となった。
“異変”...魔理沙が呪術師になることになったきっかけ。呪霊を倒しても倒しても出てくるのは、“根源”が消し去られていないからだという。
スペルカード...幻想郷に住む者たちが持っている、個人の特徴を描いたカード。枚数に制限があるが、攻撃手段は他にもあるので大丈夫...らしい。

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