ちゅんちゅん、と鳥の柔らかな声が響いた。
森の奥深くに住む霧雨 魔理沙は、今日も草木の間を箒で瞬く間に通ってゆく。
涼しい冷気を纏った妖精、チルノは、魔理沙を見つけると一目散に飛んできた。
魔理沙の問いに、チルノはにぱっと笑って答える。
そんなチルノを見て、魔理沙も笑顔が浮かんできた。
チルノのいつもの口癖聞き、魔理沙はまたははっと笑みをこぼしながらその場を後にした。
博麗神社の巫女である博麗 霊夢は、季節外れの落ち葉を箒で集めていた。
キッと、霊夢は目の前に積もった葉っぱたちを睨みつけると、1つため息をつく。
最近、落ち葉がすごいのよと、霊夢は愚痴をぽろぽろこぼす。
そんな姿を見て、魔理沙は少し呆れた顔をしながら話に耳を傾けた。
魔理沙の適当な返事に、霊夢は少し頬を膨らませた。
霊夢が魔理沙に話しかけようとすると、ウィン、と無機質な音が響き、沢山の目がある空間が現れた。
そしてそのスキマから出てきた女は、妖艶の笑みを浮かべている。
なんだとは失礼ね、とケタケタ笑う紫の顔は少し焦っているようだった。
冷ややかな目で、霊夢は紫をじっと見つめる。
さっきまでの笑顔が消え、紫は淡々と話しはじめた。
ぴくり、と霊夢は眉を動かした。
幻想郷には、博麗大結界という結界があり、その結界は幻想郷を守るために存在する。
その結界が破られるということは、”異変“が起きる象徴なのだ。
ここまで真剣そうな紫を見るのは初めてで、霊夢も魔理沙も少し不安な気持ちになっていた。
霊夢と魔理沙はハイタッチを交わすと、にぱっと笑い合い、幸せそうな顔を浮かべた。
それを見た紫は、美しい瞳を静かに閉じる。
静かに空を見上げると、どこか悲しそうに目を瞑った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!