松音side
──情報管理室前
カラ松兄さん置いてきちゃった……
すごい苦しそうだったのに……カラ松兄さんに逃げろって言われたから……
あのカラ松兄さんが余裕無いってことは……やっぱり…
今回の相手、相当ヤバい人達だ……
とりあえず…
.:*:。∞。
何か攻撃が来る……避けないと!
私は咄嗟に地面に転がった
ドゴン!!
後ろで衝撃があったと思って、後ろを振り返った
そこにはありえない光景があった
壁が粉々になって、鉄格子が丸出しになっていた
今の拳でこんなに……能力……だよね
十四松にそっくりな人は満面の笑みを浮かべてこっちを見てきた
顔は笑ってるのに、目が笑ってない……
そもそもこの人達はどうやってこのアジトに侵入したの
周りにはトラップ、防犯カメラだってある
なのに一切警報が鳴らず、今こうして不利な状況にいる
雰囲気が変わった瞬間、こっちに向かって走って来た
止めないと……捕まる…!
✩⋆*॰¨̮⋆。˚【バリア】
私はバリアを十四松にそっくりな人の周りに作った
い…?
はっ……ダメダメ!!この人は十四松じゃないんだから!
騙されちゃダメ……
.:*:。∞。
パリーン!
えっ……バリアが………!
まっすぐ私に向かって走って来た
ヤバい……もう防ぐ術が……
逃げるしかない…!
✩⋆*॰¨̮⋆。˚【バリア】
私は、平らなバリアを作って、その上に乗った
このスピードに追いつけるのは、本物の十四松だけだ!
私はものすごい速さでその場を離れた
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──3階
みんなの部屋があるフロアに来たや否や
キツい匂いが充満していて、立っていられなくなった
着地が上手くいかず、身体を強く打ってしまった
私がこんなになるのなんて1つしかない
オメガの匂いだ
そしてこの状況、嫌な予感しかしない
身体……動け……
どこかで感じたことのある視線
何か知ってる、嫌な笑み
それから私にそっくりな容姿
侵入して来た……敵だ……
どうせ力も入らないし
連れて行かれるまま、いっくんの部屋に入った
そこには、頭がクラクラする程
いっくんのフェロモンが広がっていた
おかしい……いっくんのヒートはあと1週間後のはず
1日2日は前後する場合はあるけど、こんな1週間ズレることはない
しかもこのタイミング……なんで…
そこにはカラ松兄さんの服に包まったいっくんの姿があった
カラ松兄さんが苦しがってたのって……いっくんのヒートが原因だ
ドサッ
背中を押され、踏ん張る力も無く、その場に崩れた
そう言って不敵な笑みを浮かべた後、扉が閉まった
嘘でしょ……
私はその扉に近づくも、扉が開くことなく
閉じ込められてしまった
まずい……いっくんのヒートに当たってると……
力が………
私は立つことも、起き上がることすらままならなかった
誰か……助け……
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!