目の前に立ちはだかる大型ロボットを倒すには。
まず先に挑戦したいのは音波だが、キャパシティがある上に、攻撃になるような威力はあのUSJのとき以降一度も出せていない。
きっと火事場の馬鹿力のようなものだったのだろう。
でも、いつかはできるようにならなくては。
とにかく今は、目の前の敵を倒すのみです。
そんなことを考えながら、轟くんが倒したロボを足場にして飛び上がり、次に向かい来るロボを踏み倒す。
久しぶりで飛べるか少しだけ心配だったが、なかなか飛べた。
歓喜の声を漏らしながらも、第二関門へ。
第二関門はザ・フォール———要するに綱渡りである。
なるほど、私には少し不向きです。
上半身をいたわることは一旦諦めて、腕でぶら下がって移動する。
二週間の間重たいものを持ち上げることが禁じられていたせいか、少しだけ腕の筋肉が落ちている。
クラスメイトが他のロープを伝って行くのを横目に見ながら、なんとか第二関門を切り抜けた。
第三関門は地雷原。
コレは私が勝ち上がれそうですね。
なんてったって、私の”個性”には超音波がある。
実際の地雷探知にも超音波は使われているのだ。少しずつ消耗してしまうが、足元に音波を当てて跳ね返りから地雷の位置を確認しつつ全力で走る。
機動力は無いが、地雷の位置をはっきり見られる分アドバンテージがある。
綱渡りで相当離されたようで、前にかなりの人数がいる。
実況の声から察するに、先頭はもうゴールしている。
なんとかして、予選通過はできますように。
結果発表を聞いて小さくガッツポーズをする。
ぎりぎりとはいえ、ここから上がっていけばいいのだ。
そう考えていれば、第二種目が発表される。
先程の様にモニターへ映し出されたのは”騎馬戦”。
これ……私は騎馬確定ですね。
辺りを見回したところ、皆それぞれ組んでいるようで、一人でいる人が少ない。
どうにか声をかけたいと思っていたところ、宣戦布告に来た紫髪の人を見かけた。
先程の障害物競走で見ていたが、他人を操るような”個性”を持っていた。発動条件は恐らく、会話だろう。
無条件と言うのは流石に無いだろうし、こちら側から声をかけてみる。
そう声をかけてみれば、やはり何もされない。
そんな会話をして、なんとか騎馬戦を乗り越えた。
結果は3位で、決勝進出である。
人を操る”個性”———敵に回ると厄介ですが、味方にいればとても素敵な”個性”です。
そんなことを言いながら、そっと手を差し出す。
本当は手袋を外したいが、傷跡だらけの手を出しても、怖がらせてしまうだろう。
そう言って、心操くんは握手をしてくれた。
こんな人を落とすくらいなら、もっと別の人を落としてくれてもいいでしょうに。
”一緒に、ヒーローになりましょう”。
そう伝えて、心操くんと別れた。
彼が、この体育祭でヒーロー科に来られますように。
そんなことを願いながら。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!