昼休憩が始まると同時に、弁当を持って小走りでお父さんの居る実況席へ向かった。
理由はもちろん……
雄英に入ってやりたかったことの一つだ。
小中と、体育祭のような行事はあったが、そこにはいつも誰も来なかった。
仕方ない、両親もお父さんも、プロヒーローでそう簡単には休みにならない。
でも、この体育祭なら、仕事とはいえお父さんがいるのである。
今朝は張り切って、お父さんの分も弁当を作ったのだ。
実況席に座り、すうすうと小さく寝息を立てて眠っている。
起こしてしまっては悪いかと思い、お父さんの分のお弁当にメモを添えて置いておいた。
仕方ないですね、一人で食べますか。
まだチャンスは2回あるわけですし。
そうして、観覧席に戻り一人でお昼を済ませていれば、上鳴くんと峰田くんに声をかけられた。
お父さん……
お父さんからですか!?
にわかには信じがたい話である。
いつ伝えられたのかは分からないが、そんなことを言うとは。
いやでも、お父さんはあくまで伝達をしただけで、もとは何らかの決まり?
雄英の万全性を示すための判断?
ありえない、とは言い切れないことだ。
他のクラスメイトもやるというのなら、そうなのでしょう。
そう思って、百ちゃんの所へ歩みを進めた。
ははーん、なるほど。そういうことでしたか。
お父さんの言伝と言うのを聞いてそんなことないだろうとは思っていたが、やはり嘘。
それにしても、意外とゲスいことを考えたものだ、上鳴くん。
はぁ……それはそれでどうかと。
上鳴くんにそう告げて、着替えをするべく更衣室へ向かった。
一緒に着替えをするお茶子ちゃんにそう言われて、そうですか?と返す。
いけないいけない、私はヒーローを志す者です。
怖がられるような態度を取るべきではないです。
とはいえ……
こっちはわざわざ、傷跡を隠すためのインナーを取りに家まで走って戻ったんですから。
百ちゃんと私の体力を無駄に消耗させた恨みです。
そう口にして、ジャージを羽織った。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。