第21話

チアガール
243
2026/04/29 03:00 更新
あなた
お父さん、
昼休憩が始まると同時に、弁当を持って小走りでお父さんの居る実況席へ向かった。
理由はもちろん……
あなた
一緒にお昼食べましょう。
雄英に入ってやりたかったことの一つだ。
小中と、体育祭のような行事はあったが、そこにはいつも誰も来なかった。
仕方ない、両親もお父さんも、プロヒーローでそう簡単には休みにならない。

でも、この体育祭なら、仕事とはいえお父さんがいるのである。
今朝は張り切って、お父さんの分も弁当を作ったのだ。
あなた
……あら、寝ていますね。
実況席に座り、すうすうと小さく寝息を立てて眠っている。
起こしてしまっては悪いかと思い、お父さんの分のお弁当にメモを添えて置いておいた。

仕方ないですね、一人で食べますか。
まだチャンスは2回あるわけですし。

そうして、観覧席に戻り一人でお昼を済ませていれば、上鳴くんと峰田くんに声をかけられた。
上鳴電気
だから、午後は女子全員チアで応援合戦しなきゃいけねぇんだって!
あなた
……誰からですか?
峰田実
あっ、相澤先生からの言伝だ。
峰田実
八百万たちはもう準備してんぞ!
お父さん……
お父さんからですか!?

にわかには信じがたい話である。
いつ伝えられたのかは分からないが、そんなことを言うとは。

いやでも、お父さんはあくまで伝達をしただけで、もとは何らかの決まり?
雄英の万全性を示すための判断?
あなた
はぁ……よく分かりませんが分かりました。
ありえない、とは言い切れないことだ。
他のクラスメイトもやるというのなら、そうなのでしょう。

そう思って、百ちゃんの所へ歩みを進めた。
ははーん、なるほど。そういうことでしたか。

お父さんの言伝と言うのを聞いてそんなことないだろうとは思っていたが、やはり嘘。
それにしても、意外とゲスいことを考えたものだ、上鳴くん。
あなた
利害の一致した峰田くんと手を組み、百ちゃんに”個性”を使わせて本戦での戦力を削ぐ作戦ですね?
上鳴電気
ウェッ!?
上鳴電気
そこまで考えてねぇよ!?
はぁ……それはそれでどうかと。
あなた
それなら大した理由もなく百ちゃんを消耗させたということですか?
上鳴電気
ま、まぁ……
あなた
えぇ……むしろそこまでの思考に至らなかったことの方が信じられないのですが。
あなた
……本戦で、戦いましょうね。
上鳴くんにそう告げて、着替えをするべく更衣室へ向かった。
麗日お茶子
怒りが滲み出とるねあなたの下の名前ちゃん……。
一緒に着替えをするお茶子ちゃんにそう言われて、そうですか?と返す。

いけないいけない、私はヒーローを志す者です。
怖がられるような態度を取るべきではないです。

とはいえ……
あなた
あんな嘘をつかれて、大人しくしているほど、私は穏やかではありませんよ。
こっちはわざわざ、傷跡を隠すためのインナーを取りに家まで走って戻ったんですから。
百ちゃんと私の体力を無駄に消耗させた恨みです。
あなた
クジラという生き物は、意外にも恨みを忘れないんです。
そう口にして、ジャージを羽織った。

プリ小説オーディオドラマ