今日のヒーロー基礎学は救助訓練。
私が一番楽しみにしていた訓練だ。
コスチュームに着替え、バスに乗り込む。
クラスメイトたちが会話をする中、お父さんの隣の席に座る。
小中とあまり多くの友人がいなかったことから、多くの人と会話をすると疲れてしまう。
ポッドを作って行動するクジラの性質は、”個性”に反映されなかったらしい。
そんなこんなでお父さんとぽつぽつ会話をしていれば、訓練会場に到着した。
バスを降りて真っ先に見えた”亜南さん”こと、プロヒーロー”13号”に飛びつけば、お父さんの捕縛布に縛られる。
本当にこの捕縛布はどうなっているのか。
抵抗していないとはいえ、200kgもある私を軽々と引きずり寄せる。
入試のための訓練のときから続く、大きな疑問だ。
企業秘密だ、と答えは教えてもらっていない。
そう言ってクラスメイトの中に紛れ込む。
久しぶりに会えて嬉しかったんだ。
要約するならば、”個性”は人を助けるために使うもの、という話だ。
簡単に人を殺せる力を持つことを自覚し、人命救助のためにそれをどう活用するか考える。
それが救助訓練で学ぶ最も大切な事だ。と。
入試までの訓練の中で再三にわたり言われている。
そう言って話を終える亜南さんに、拍手を送る。
やはり、何度聞いても”大切”だと思えるお話です。
なんてことを思っていれば、照明が点滅を始めた。
雄英の、しかも亜南さんの作った施設で、こんなことが起こるなんて。
……なにかが、おかしいです。
お父さんが声を張り上げる。
その異常性に、途方もない危機感を覚えた。
そうか、あれは、本物の……
お父さんは亜南さんに私達生徒を頼み、敵の中に突っ込んで行った。
別に、信用が無いわけではないんです。
でも、でもなぜか、不安で不安で、仕方がない。
下で戦うお父さんを見つめながらそう呟き、避難に移ろうとする。
しかし、黒い霧のようなものに行く手を阻まれ、たらたらと言葉を紡ぐ。
どうやら、オールマイトの命を奪いに来たらしい。
そんな無謀なこと。ありえるのか。
雄英の警報機を鳴らすことなく侵入するなんてことを成している以上、相当考えられた上の作戦であるはずだ。
オールマイトを殺す算段も、揃っているのかもしれない。
でも、一体どうやって。
そんなことを考えるのに夢中になっていれば、視界が霧のようなものに覆われた。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。