モノクマの「コロシアイ」宣言から間もない頃。獄腹が見つけたというマンホールに向かう最中のことだった。
誰もが_無論自分も含めてだが_心の中で感じてはいたが口に出さなかった疑問。それを何のためらいもなく口にした王馬は、やはり幼い顔立ちに似合わずににんまりとした悪い笑みを浮かべている。
脱出できる希望を見つけ高ぶっていた場の雰囲気が一気に急降下したのを感じ取った赤松が、すぐに王馬を咎める。茶柱が続くように「そうですよそこの男死、あなたの名字さんに失礼です!」と非難した。やはり男子……いや、男死の最原は含まれていなかった。
まるで悪気なんてないような爽やかな笑顔で王馬はそう言った。
当の本人である最原は慌てたような表情だが、隣で腕を組んで王馬をじっと見ているあなたの名字の表情は相変わらず真顔のままだ。王馬も充分やりにくい相手だが、あなたの名字も中々だと思う。
まだ少ししかしていないがわかったことがある。
王馬に一番有効なのは無視をすることだ。どんな言い返しをしても王馬はそれを何倍にもして返し、こちらを言いくるめようとする。そんなことを続ければ話は平行線になるばかりで、だからこそ王馬に返事をしないのが一番の有効手段なのだ。
あなたの名字がそれをわかって初めからそうしているのかはわからないが、王馬と顔を合わせてからほとんどと言っていいほど喋らない彼女が何を考えているのかが全くわからない。
王馬や春川、神宮寺もあまり考えていることが読めないが、それは「わからない」のであって、「想像できない」わけではなかった。
けれどもあなたの名字の考えることは全く想像できない。想像するには、あまりに情報が少なすぎる。
ハッキリと言い放った赤松と比べると酷く自信のなさそうな声色だったが、しっかりとそう言った最原を見てふうん、と王馬は目を細めた。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。