昼休み。
カーテンの奥から光が差し込む静寂の中、
彼はページをめくる音だけを響かせていた。
そう言って彼女は、当たり前のように俺の袖を引っ張った。
そんなことだけで、心臓が跳ねる。
そんな思いが、胸のなかで混ざる。
彼女は不意に、ふっと笑った。
そんな顔をみたのは、初めてだった。
私はそう言いながら彼の隣に腰掛けた。
言い切ってしまってから、
なんだか大胆なことを言ってしまった気がして、
視線を落とした。
そういう顔もするんだ、と思った。
意地悪な顔。
いつも教室の隅にいる彼が、
こんな顔をするなんて。
そんなことだけで、心が揺れた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。