第18話

こじれた初恋⑭
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2019/09/14 02:39
その日の放課後。帰りの路面電車の中で廉はひたすら上機嫌だった。
美桜と海人は少し離れた席から、廉とあなたの様子を見守っている。
今田美桜
今田美桜
バカ廉てば偉そうに。ペア、自分があなたと組みたくてたまんなかったくせに
髙橋海人
髙橋海人
でもちょっと変わり始めたね、あの二人
今田美桜
今田美桜
どこが!?
美桜がマジギレしているのを見て、海人はくすっと笑う。
髙橋海人
髙橋海人
あなた、自分から廉のこと誘ったし
今田美桜
今田美桜
けどクソ廉は全然じゃん!
髙橋海人
髙橋海人
でも前の廉だったら、他の男子と話しただけで、あなたのこと突き放してたよ
今田美桜
今田美桜
・・・・・・
言われてみればそうだな・・・・・・と美桜は思った。
廉は元々独占欲が強くて、ヤキモチ焼きの男だ。
ちょっと前ならば、あなたに自分以外の男が近づいただけで冷たい態度を取っていたはず。
髙橋海人
髙橋海人
あなた、廉の気持ち、気づいてなさすぎだよな
今田美桜
今田美桜
ムリでしょ、あれで気付けって言われても
髙橋海人
髙橋海人
うーん。さすがに長いことおかしなやりとり繰り返して、
二人ともこじらせすぎたかな
美桜と海人は変わりそうで変わらない二人の関係を、じれったく思う。
そして問題の化学の実験の日が、やってきた。
実験の直前、廉と海斗は階段のところですれ違った。
いつもと違って廉は制服の上に白衣を来ている。
永瀬廉
永瀬廉
ごほごほっ
髙橋海人
髙橋海人
あれ?風邪ひいた?
海人はすぐに廉の様子がおかしなことに気づいた。
派手に咳き込んでいるし、顔色も悪い。
案の定、廉のおでこに手を当てると、燃えるように熱かった。
髙橋海人
髙橋海人
熱、すごっ!早退したら?
海斗は廉の体を心配して、帰ることを勧めるが。
永瀬廉
永瀬廉
いや、あなた、実験楽しみにしてたから。風邪のこと、絶対言うなよ
と、廉はゲホゲホと咳き込みながら、化学室に向かう。
髙橋海人
髙橋海人
心)ったく、ホント不器用な奴。その優しさをちゃんと
あなたに伝えればいいのに・・・・・・
海斗は意地っ張りな親友に、心の中でエールを送った。
素直じゃないけど、本当は心根の優しい奴だと知っているから。
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短い…

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