第5話

5、お別れの前に
303
2025/01/08 02:21 更新
小豆沢こはね
小豆沢こはね
お待たせ、青柳くん...!
ごめんね、その、お手洗いすごく並んじゃってて...。
青柳冬弥
青柳冬弥
構わない。
それじゃあ、行こうか。雪で少し滑りやくなっているから、気をつけるんだぞ。
こはねの家の前
小豆沢こはね
小豆沢こはね
ごめんね……結局家まで送って貰っちゃって
青柳冬弥
青柳冬弥
俺がそうしたかっただけだから気にするな。もう随分暗かったし、何か危険があっては良くないからな
青柳冬弥
青柳冬弥
……小豆沢、今日は本当にありがとう。
凄く楽しかったし、良い思い出になった
小豆沢こはね
小豆沢こはね
そ、そんな!お礼を言うのはこっちの方だよ…!
急に誘っちゃったのに、来てくれてありがとう。私もとっても楽しかったよ!
青柳冬弥
青柳冬弥
ああ。……そうだ、小豆沢。
今日撮った写真を後で俺の方に送っておいてくれないか?
小豆沢こはね
小豆沢こはね
うん、いいよ!
沢山撮っちゃったから、良いやつを何枚か厳選して送っておくね
もう家に着いていて、時刻も遅い。
何より青柳くんはこれから家まで歩くのだから、早く別れないといけなくて、ここでずっと立ち止まっている理由なんて何一つないのだが、何だかこのままお別れするのが名残惜しくて、たわいもない会話だけがポツリポツリと続いていく。
小豆沢こはね
小豆沢こはね
(でも……流石にもう遅い時間…………)
小豆沢こはね
小豆沢こはね
青柳くん、話が長引いちゃってごめんね……!
もうこんな時間だし、青柳くんも帰らないとお父さん達が心配しちゃうよね。
青柳冬弥
青柳冬弥
……!
そうか……もうそんな時間か。……いや、こちらこそ長引かせてしまってすまない。....そうだ、小豆沢...
小豆沢こはね
小豆沢こはね
……?(青柳くん、どうしたんだろう……?)
青柳冬弥
青柳冬弥
最後に、小豆沢に渡したいものがあるんだ。
小豆沢こはね
小豆沢こはね
え、渡したい...もの?
青柳冬弥
青柳冬弥
....これを。
そう言って冬弥が鞄から取り出したのは、小さなリボンの装飾がついた紙袋だ。
小豆沢こはね
小豆沢こはね
えっ?これって一体...?
青柳冬弥
青柳冬弥
開けてみてくれ。喜んで貰えたら良いんだが...
こはねはドキドキしながらその小さな紙袋の封を開け、中に入っているものを取り出すと、マフラーを巻いている可愛らしいくまのぬいぐるみが顔を出した。
小豆沢こはね
小豆沢こはね
わあ...!可愛い!
小豆沢こはね
小豆沢こはね
あ...!それによく見たらこれ、私たちがお土産屋さんで一緒に見た子だ...!でも、一体いつのまに....?
青柳冬弥
青柳冬弥
...ああ。小豆沢が少し席を外していた間にな。とても名残惜しそうな顔で見ていたから...どうしても、プレゼントしたいと思って。
小豆沢こはね
小豆沢こはね
そうだったんだね...!
小豆沢こはね
小豆沢こはね
えへへ...とっても嬉しいよ!ありがとう、青柳くん!この子のこと、大切にするね...!
青柳冬弥
青柳冬弥
...!
その小さなくまのぬいぐるみを優しく抱きしめながら、冬弥に満面の笑顔を向けるこはね。

その姿は、耐えず降りつける粉雪も相まっていつもよりいっそう綺麗に見えた。


.....そんな彼女を見て、さらに胸を強く動かされる。

そうしてたった今、ようやく、冬弥は自分が彼女に抱いている感情の正体に気がついたのであった。
青柳冬弥
青柳冬弥
(ああ、やっぱり....)
青柳冬弥
青柳冬弥
_______好きだ。
小豆沢こはね
小豆沢こはね
.......!

プリ小説オーディオドラマ