オレは次の日の朝、ケイタに話しかけられた。
ケイタは楽しく中学時代の瑠衣のことを話してくれる。
それが嬉しくて、楽しくて、笑っていた。
話は暖かいもので、その裏をオレはその時、まだ知らなかった。
その時、瑠衣がやってきた。
その時の表情をオレは一生忘れないだろう。
瑠衣の感情が手に取るように分かった。
絶望、だった。
理由は分からない。でも、それだけが分かった。
咄嗟に瑠衣の名前を呼ぶ。
呼ばれた時の瑠衣の顔は青ざめていた。
恐怖、絶望。
──その2つの感情が確かに存在していた。
そのケイタの言い方と表情を見てやっと分かった。
あのアザ、中学以来の友達、瑠衣の表情──
繋がって、しまった。
瑠衣はケイタに……今も、いじめられているんだ。
放課後、教室の外からクラスメイトを見つめている瑠衣を見つけた。
瑠衣は羨ましそうな表情で、どこか悲しい表情をしていた。
''嘘''だ。
"また明日"じゃないことがオレの心を不安にさせていく。
そして、言ってしまった。
その時の瑠衣の表情は今までが全て消えたような、何かが壊れたようなものだった。
ああ……やって、しまった。
ごめん。
"味方だから"言いかけた時、瑠衣が遮って言った。
その声は振り絞って出したような声だった。
瑠衣は走って行ってしまった。
オレは、数分間立ち尽くしていた。
しかし、瑠衣を追いかけるために動き出した。
瑠衣を救うために。
あの笑顔を取り戻すために。















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!