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大吾 side
あなたは何度も断ったけど、負けじと懇願してやっとホテルを教えてもらった。
むしろ利用してるのは俺や。
弱ったあなたにつけ込んで、ちょっとでも隣にいれるようにって。
慰めるなんて良い言い方して、ほんまは一緒に居たい気持ちが強いんやから。
ごめんなさい、道枝さん。
俺は、泣いている好きな人をほっとけるほどの男ではない。
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ホテルに到着すると、マスクだけをしたあなたがエントランスにいた。
急いで駆け寄ると、一定の距離を保ちながら警戒しつつ、部屋に案内してくれる。
『入って。』
大吾「あ、うん。」
部屋に入ると、あなたはマスクを外してソファに腰掛けた。
俺もとくに座る場所がなかった為、あなたの隣に座る。
そして少しの沈黙を、彼女の綺麗な声が破った。
『大ちゃん…ありがとう、来てくれて。何も、聞かないでくれて。』
それを聞いて、やっぱり道枝さんとの間で何かあったのは確実やなと思った。
大吾「なぁ、あなた。…今、悲しい?」
『…悲しいよ、すっごく。』
あなたの返事を聞いた俺は、彼女を自分の腕の中に閉じ込めた。
大吾「悲しい時、辛い時はな、誰かに抱きしめてもらうと和らぐんやって。…だから、泣いていいんやで。俺の前では強がらんとって。」
耳元で囁くと、堰を切ったようにあなたは泣き出した。
俺はひたすら背中をさすってあげたり、抱きしめる力を強くしたりして慰めてあげた。
けどやっぱり、あなたに触れられている事が幸せでならなかった。
電話でも泣いていたからか、案外すぐに泣きやみ、まだ震えている声で話し始めた。
『私ね、駿佑の事を愛している人や恋人になりたい人が世界中にいるって、最近改めて分かったの。
だから、やっぱり私は彼から離れないといけないって、そう思った。
本当は今でも大好き。苦しいくらいに好きなの…
でも 「あなた 、」…何?』
大吾「俺じゃ、あかん?」
気づいたらこんな事を言っていた。
もちろん無意識。
『…あのさ、元はと言えば大ちゃんが浮気したんだよ?私が…私がどんだけ傷ついたと思ってるの…』
それを聞いてハッとした。
俺にはもう、あなたを幸せにする権利はないんやって。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!