第70話

幸 せ に す る 権 利
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2023/12/02 13:00 更新
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大吾 side






あなたは何度も断ったけど、負けじと懇願してやっとホテルを教えてもらった。




むしろ利用してるのは俺や。




弱ったあなたにつけ込んで、ちょっとでも隣にいれるようにって。




慰めるなんて良い言い方して、ほんまは一緒に居たい気持ちが強いんやから。




ごめんなさい、道枝さん。




俺は、泣いている好きな人をほっとけるほどの男ではない。




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ホテルに到着すると、マスクだけをしたあなたがエントランスにいた。




急いで駆け寄ると、一定の距離を保ちながら警戒しつつ、部屋に案内してくれる。






『入って。』




大吾「あ、うん。」






部屋に入ると、あなたはマスクを外してソファに腰掛けた。




俺もとくに座る場所がなかった為、あなたの隣に座る。




そして少しの沈黙を、彼女の綺麗な声が破った。






『大ちゃん…ありがとう、来てくれて。何も、聞かないでくれて。』






それを聞いて、やっぱり道枝さんとの間で何かあったのは確実やなと思った。






大吾「なぁ、あなた。…今、悲しい?」




『…悲しいよ、すっごく。』






あなたの返事を聞いた俺は、彼女を自分の腕の中に閉じ込めた。






大吾「悲しい時、辛い時はな、誰かに抱きしめてもらうと和らぐんやって。…だから、泣いていいんやで。俺の前では強がらんとって。」






耳元で囁くと、堰を切ったようにあなたは泣き出した。




俺はひたすら背中をさすってあげたり、抱きしめる力を強くしたりして慰めてあげた。




けどやっぱり、あなたに触れられている事が幸せでならなかった。




電話でも泣いていたからか、案外すぐに泣きやみ、まだ震えている声で話し始めた。






『私ね、駿佑の事を愛している人や恋人になりたい人が世界中にいるって、最近改めて分かったの。
だから、やっぱり私は彼から離れないといけないって、そう思った。
本当は今でも大好き。苦しいくらいに好きなの…
でも 「あなた 、」…何?』




大吾「俺じゃ、あかん?」






気づいたらこんな事を言っていた。




もちろん無意識。






『…あのさ、元はと言えば大ちゃんが浮気したんだよ?私が…私がどんだけ傷ついたと思ってるの…』






それを聞いてハッとした。




俺にはもう、あなたを幸せにする権利はないんやって。




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