この子はずるい。
クリクリな目を向けて少し上目遣いでそんなことを
言われたら誰でも恋に落ちるだろう。
でも私は元彼のことが忘れられないので全然効かない。
何回目かも分からないため息をついて私はまたちびちびとお酒を飲んでいた。
なんて言いつつも、私ももう飲める気がしなかった
ので、そこでお酒を飲むことをやめた。
その後の記憶はあまりなくて、12時前には解散になった。
その後どうしてか家の前の道を歩いていた。
そこで突然ふらっとして地面に座り込んだ。
その時頭上から
どこかで聞いた事のある声に私は勢いよく顔をあげた。
正直びっくりした。
まさかこんな所で彼に出会えるとは思っていなかったから。
私は迷ったけど、1人じゃ歩けそうもないので、
優しい声と表情でそう言って笑ってくれた。
彼と歩く見慣れた帰り道。
何かが始まりそうで、胸の高鳴りがおさまらない。
でもそう思っていたのは私だけだった。
ふと会話の流れで、
顔を伏せていて表情は見えなかったけど、その言葉
は私にとっては辛い現実だった。
私は忘れられないのに、彼はもう別の人と恋をして
いるんだと思うと悲しい気持ちが溢れ出てくる。
口ではこんなことを言っているけど、正直泣きそう
で、想いが溢れ出そうだ。
〝今でも好き〟
こんなことを言ったら彼は困るかな?
その時
そうか、浜田くんに送ってもらってたのか、、、
浜田くんからは聞いたことがないような低い声が聞こえた。
私が言葉につまっていると、
と彼が説明した。
〝元〟か…
そうだよね。
彼にとっては私なんてただの元カノ。
もうどうでもよくなっちゃったかも…
私は急いでこの場から立ち去ろうとした時、
突然彼に止められた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。