2年前。
少し…いや、結構色々あって…家から追い出された私は、空腹を抑えながら街を練り歩いていた。
目的地はない、ただ止まってしまえば終わりだと思った。
街の裏路地には不良達が屯っており、身を隠す所もなかった。
人間である以上、空腹を抑えるのには限界がある。腹の虫が鳴り止まず、意識が朦朧として倒れそうになった時、地面に落ちる衝撃はなく、ふんわりとした香水、しっかりとした肉付きのある体に抱きとめられていた。
人肌に触れ、安心したのか、緊張していた身体から力が抜け、そのまま意識を手放した。
目を覚まし、部屋を見渡すと整えられた黒と白を基調とした部屋が広がっており、黒色の棚には香水がずらりと並んでいる。
ベットのすぐ横にある窓を眺めると、街を一望できかなり高い部屋にいるのだと気づく。
ドアの向こうから甘い香りが立ち込める、空腹には逆らえず、ベットから抜け出し甘い香りのするリビングへと向かう。
リビングへと続くドアを開けると、甘い香りと共にテーブルに座ってる炎のような髪をした人と目が合う
焚石と言う人が私に指を指すと、キッチンから癖毛でスっと上がった目尻、身体にはタトゥーが刻まれており一見、怪しい人だと思うだろう男の人が覗く。
綺麗な目をした男の人は、私の前に屈んで頭を撫でてニコニコとしながら、ソファに座るよう促す。私はソファを一瞥し、小さく頷く
しばらく待っていると、テーブルに料理が並べられて、手招きをされてテーブルへと向かう。
ふわふわのフレンチトーストにフォークを刺すと、ジュワっとしみていたバターが溢れ食欲をそそられる。
一口、口に入れれば甘さが口の中へと広がる。目元が熱くなり視界が潤む。
涙ぐみながら、食べていると前に座っていた炎のような髪をした男の人が傍に寄り、頬を掴まれる
そう言うと、掴まれていた頬から手を離し、外に出て行ってしまった。
これが棪堂と焚石との出会い。
それから1年が経つと急に、すまねぇが一人暮らしをしてくれ、と言われ家具一式揃えられて、流れのまま一人暮らしするようになった。
理由は今でも分かっていないが、あの2人に女が居てもおかしくないし、棪堂がそう言ったのならそうする。初めて会った時から、棪堂にはどっぷりと惚れていた。
しばらく過去が続きます🙏
𝕋𝕠 𝕓𝕖 𝕔𝕠𝕟𝕥𝕚𝕟𝕦𝕖𝕕︎︎𓂃⟡.·
𝕟𝕖𝕩𝕥➯➱➩『❤️🔥』













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!