夜
部活が終わった後、清水先輩と仁花ちゃんと一緒に帰った。
独り暮らしをしてると言えばものすごく驚かれて、心配もされたけど平気ですって返しておいた。
昨日作っておいたカレーを食べて、お風呂に入って、髪を乾かして。もろもろの準備が終わり、あとは寝るだけという時に、ベッド脇においていたガラ携からバイブ音が聞こえる。
「何?万次郎」
「あ、あなただ」
「何それ、あんたがかけたんでしょうが」
「なぁなぁ学校楽しい?」
「まぁ……普通」
「えー……やっぱこっち戻ってこいよ」
「それは無理。あ、そうだ。私、今日男子バレー部のマネージャーになったんだよね」
「…………え?」
「だから、男子バレー部のマネージャー」
数分間の沈黙
こいつ寝たか?
「え……はぁぁ?!!!」
「うわ、うるさっ……」
黙ったかと思えば急に叫ぶなよ!
耳がキーンってする
「おまっ!!男子?!!マネージャー?!!」
何こいつ、単語しか言えなくなったの?
会話にならないんだけど
私の片割れは壊れてしまったらしい
御愁傷様です
「あなた、マイキーが壊れた」
「知ってる。てか、場地?あれ?もしかして、今日集会?」
「あぁ。あなた、マイキーに何言ったんだよ」
「だから、男子バレー部のマネージャーになったって」
「っ…?!!」
息を飲む音。
のあとに、人が倒れる音がした。
背後で「場地さぁぁぁん!!」という千冬の声がしたから、場地が倒れたので間違いない。
なんだ?そんな変なこと言ってるか??
「あなた、犠牲者出しすぎ」
「カズちゃんだ。久しぶり」
「久しぶり~あなた。で?何言ったの?」
「私、男子バレー部の「男子???」……まだ途中」
「は?男子??え?男子バレー部??」
「おーい、カズちゃん?」
「男子バレー部の何?」
「マネージャーになった」
「ダメ。絶対ダメ。あなた、俺やだぁ。男子とかダメだから。男しかいないんだろ。そんなとこ入ったら手首切ってやる………」
メンヘラ化してしまった……
「うん。手首は切らないでね。私が悲しいから」
分かった、あなたが悲しむならしないと言いながらもぶつぶつ物騒なことつぶやいているカズちゃん。大丈夫かしら
てか、誰かマトモなの出てこいよ!!
「あなた?」
「隆!!」
「あいつらぶっ壊れたんだけど、何言ったんだよ。」
「男子バレー部のマネージャーになるって」
「………お母さんは許しません」
「隆はいつ私を生んだのよ。てか、私を産んだなら万次郎も産んだことになるんだからね」
隆も壊れた
なぁにぃ?
そんなに変なこと言ってる??
別に男子バレー部のマネになるって言ってるだけじゃん
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。