じりじりと夏でもないのに太陽は私の肌を焼く。ここの所気温がとても高く、アイスを食べたりと冷たいものを探すようになっていた。
外に出た理由は他でもない、あまり人気がなく木々に囲まれて空気の澄んでいる"いつもの場所"に行けば少しは暑さがマシになると思ったからだ。
あそこなら近くに川もあるし遊んでも咎める人はいないだろうと足早に向かった。
しかし、そこに着くと少し、いやかなりの大きさのダンボールが置いてあった。
ここに来る人はほとんどいないと思っていたが、それをいいことに犬や猫を置き去りにしているのではないか、と考える。
確認のためにダンボールの中を覗くと私は目を見張った。
なぜなら、やれ犬だ猫だと思っていたダンボールの中にいたのは6人の子供だったからだ。
いつからここに置かれていたのかはわからないがこの暑い気温だ。いくらこの場所が木陰になっていて涼しくても脱水症状などが出ていてもおかしくはない。
私は彼らを起こすために呼びかけた。
声をかけると各々が目を開きこちらを不思議そうな目で見てくる。
しかし意識がはっきりしてくると次第に警戒の目を見せてきた。
そう言うと気だるげで青い服を着た男の子が答えてくれた。
そう聞くとぐぅ、とどこからともなく小さく可愛らしい主張が聞こえてきた。
なるべくゆっくりと持ち上げてダンボールから出していく。それにしても軽い。大丈夫だろうか。
全員だし終わるとむらさきの服を着た子と黄色い服を着た子が手を繋いできた。
いきなりのことに少しびっくりしたが、警戒を解いてくれたようで嬉しかった。
帰る途中、自己紹介を聞きながら歩いていると、駄菓子屋さんに着いた。水分補給などをした方がいいかと寄ることにすると、さすがに暑かったらしい、アイス売り場に駆け込んでいった
はぁいと片手を上げながら返事をする彼らを見ておばあちゃんと私は顔を見合わせて笑った。
家に着くと、歩いてきて疲れたのか皆ぺたぁと座り込んだ。
とりあえずリビングに連れていきベッドの上だったりクッションの上だったりに座らせる
そう言うと彼らは顔を見合わせた後、首を横に振るが宙君は手をポケットに突っ込んでメモを取り出した
そう言うと彼らはまだよく分からないのだろう。子犬のような目でこちらを見てきた。心做しか涙目にも見える
そう言って頭を撫でればふにゃふにゃと笑った。とても可愛い。
何はともあれ、事情が事情な為野放しにすることも出来ない。この家でできることをしよう
その言葉に彼らも笑い返してくれた。
しかし、私は気付いていなかった。彼らの目が妖しく光り輝いていたことに。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!