家に帰っても落ち着かなかった
ベッドに座っていても
スマホを見ても
テレビをつけても
頭の中にはミンジョンの声ばかり響いている
そして夕方。
窓の外が少しオレンジ色になった頃
○○はスマホを手に取った
少しだけ迷う。
でも、
メッセージを打った
送信
1秒
2秒
3秒
即レスだった
メッセージが立て続けに届く
○○は思わず笑ってしまった
それから待ち合わせ場所に向かう
でも。
着いてすぐ思った
ミンジョンがもういた
待ち合わせの20分以上前なのに。
しかも
手には小さな紙袋
○○を見つけた瞬間
嬉しそうな顔
本当に嬉しそうだった
そして紙袋を差し出してくる
中を見る
スイーツだった
以前一緒に歩いていた時に○○が「これ美味しそう」と言っていたお店のもの
ミンジョンは当然みたいに言う
その笑顔を見た瞬間
昼間に聞いた言葉がまた頭をよぎった
「○○が笑うとなんか安心する」
胸が少しだけ熱くなる
2人は近くの公園へ向かった
ベンチに座る
スイーツを食べながら他愛のない話をする
でも。
ミンジョンは途中から少し不思議そうな表情をしていた
○○が聞く
すると
ミンジョンが少し笑う
○○の心臓が跳ねた
確かにそうだった
自分でも気づいていた
以前より自然に隣に座っている
以前より顔を見て話している
以前より
ずっと近い
ミンジョンはからかうように笑う
冗談のつもりだった
きっといつもみたいに
でも
今日は違った
○○は笑わなかった
誤魔化さなかった
逃げなかった
ミンジョンは少しだけ首を傾げる
その時、○○は思った
ミンジョンはずっと本音を話してくれていた
不器用でも
下手でも
ちゃんと伝えようとしてくれた
だったら
今度は自分の番だ
○○はゆっくりと息を吸った
そして
ミンジョンを見る
真っ直ぐ
静かな声だった
でもちゃんと届いた
ミンジョンが固まる
完全に動かない
本当に動かない
数秒。
10秒。
20秒。
やっと出てきた言葉がそれだった
ミンジョンの瞳が少し潤んでいる
声が震えていた
するとミンジョンは急に顔を覆った
そして少しだけ笑う
泣きそうな顔で
夕暮れの光の中
2人は見つめ合う
もう追いかける側と逃げる側じゃない
不安だけでつながる関係でもない
ただ、お互いに本音を伝えられるようになった2人だった
そしてミンジョンは少し照れながら
でも確かに幸せそうな顔で言った。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。