第50話

おにごっこ
287
2023/10/29 08:00




暗く長い廊下で一人の足音が響く。


やがて大きな扉の前に行き着く。


2,3度叩いて、扉を開ける。




ライ
ライ
おかえり、今日の仕事も完璧だったよ



機嫌が良さそうに男は言う。


あなた
ありがと
あなた
それはそうと、最近ちょっと頑張り過ぎじゃない?

ライ
ライ
頑張り過ぎ?




笑顔のまま、距離を近付けて続ける。

あなた
実際私が出る回数も増えてるし
あなた
何か焦ってる?

ライ
ライ
…確かに、焦ってるかもな
ライ
ライ
そんなつもり無かったんだけど

あなた
あまり目立ちすぎると尻尾掴まれちゃうかも
あなた
先代みたいに


その言葉を聞いて、ライの体が少し強張るのがわかった。




ライ
ライ
……先代クソジジイの二の舞いは御免だな
ライ
ライ
わかった、少し仕事のペースを落とそう
ライ
ライ
ありがとう、あなた



そう言って私にキスを落とす。


あなた
…じゃあ今日はもう寝るから
あなた
ライもゆっくり休んで


ひらひらと手を振って、部屋から出る。



あなた
……
あなた
(これで、そう簡単には追ってこれないはず)
あなた
(ごめんね、クラウス)


















クラウス
クラウス
昨日、あなたに会った


少女たち
え、ええええええ!?

リリィ
リリィ
いくらなんでも急だし早すぎじゃ…?

クラウス
クラウス
偶然だ。僕も驚いた
クラウス
クラウス
で、本題だが

少女たち
(えぇ…)

クラウス
クラウス
あなたは何故か僕たちに会いたがらない
クラウス
クラウス
これからは隠れて生きると言っていた
クラウス
クラウス
だが、それを見過ごしてやる僕ではない

ジビア
ジビア
ま、そうだろうな
ティア
ティア
先生だものね

クラウス
クラウス
僕から逃げ隠れるあなた、
あなたを探し追いかける僕…つまり、

エルナ
エルナ
つまり…?















クラウス
クラウス
おにごっこだ


モニカ
モニカ
お、おにごっこって…
そんな事言ってる場合じゃないでしょ…
リリィ
リリィ
いいじゃないですか!単純で!!
アネット
アネット
俺様、おにごっこ好きです!



ティア
ティア
ふふっ、前にもこんな事あったわね

エルナ
エルナ
ティアお姉ちゃん…?

ティア
ティア
何でもないわ
ティア
ティア
私達も頑張ってあなたさんを捕まえなきゃ
エルナ
エルナ
なの…!



クラウス
クラウス
(僕からそう簡単に逃げられると思わないことだな)
クラウス
クラウス
(待っていろ、あなた)









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