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第13話

11話
ゆきむら。
ぼくね,昔から
ゆきむら。
誰かと仲良くってできなかったんだ。
ゆきむらくんは彼自身のことを話してくれた。


彼の優しさを勘違いしたひとからいわれのない誹謗中傷をうけたこと。

彼の行動が曲がった形で伝わり,誰にも真意を理解されなかったこと。



…そのせいで,人と必要以上に接することを拒絶してしまうこと。
ゆきむら。
ある程度の関係なら築けるんだけど,
それ以上になるのが嫌で。
ゆきむら。
誰かに束縛されるのも嫌だし面倒だと思ってたから…
緊張した声から

少し上擦って笑いの滲んだ

自分を卑下するかのような声に変わって,

そして最後には涙に濡れた声へと。
ゆきむら。
でもさ,あなたさんのことはなんだろう…
初めから『この人好きだ』って感じたんだッ
ゆきむら。
ね,あなたさん
ゆきむら。
だから絶対,僕のこと捨てないでッ
ゆきむら。
僕のそばから離れていかないで,
ゆきむら。
ずっとそばにいて…
ゆきむらくんの悲痛な叫びが聞こえてくるようで,

気付けば私の目からも涙があふれていた。
あなた

ごめん…ごめんね…

ただ,謝ることしかできなくて。


彼にかける言葉がない自分が不甲斐なくて,


彼の苦しみを本当に理解できないことがやるせなくて,


彼を苦しめてきた全てが許せなくて,



悔しかった。
自分が無力なのだと,改めて告げられた気がした。
あなた

辛かったよね,苦しかったよねッ

あなた

何にもできなくてごめんねッ

この話をするのだって

相当勇気が必要だっただろう。


まだ出会ってほんの数日で

赤の他人のような私をこんなにも

評価してくれているとしても。
あなた

私でいいなら,私なんかでゆきむらくんの傷が癒えるなら
ずっとそばにいるからッ

あなた

だから…

ゆきむら。
ありがとう,あなたさんッ
ゆきむら。
あなたさんがずっとそばにいてくれるなら
それ以上のことなんてないよ…
ゆきむら。
…ごめん,もう切るね
ゆきむら。
ありがとう
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…私はあの時,何を言おうとした??
『だから』



その後に続けようとした言葉は

夜の闇に紛れて溶けていった。



きっと誰も,知ることはない。