教室に入るとき、
俺は必ず一瞬だけ足を止める
誰かと目が合わないように、
視線を少し下げる
それが当たり前になったのはいつからなのだろうか
朝のホームルーム
毎朝の出席確認をする。
誰もが気まずくなるこの瞬間。
毎朝先生は何事もないように、引き続き出欠をとる
それだけで、俺は今日も存在したことになる。
最初は小さなことだったと思う
話しかけても返事が遅れる。
俺の言葉のあとだけ、会話が一拍止まる。
でもすぐに別の話題が始まるから、
俺の言葉が邪魔だったのかどうか、確かめる時間もない
昼休み、みんなの机を寄せるような音が聞こえる
毎日毎日変わらないグループの輪が出来上がる
俺の机は斜めに教室の端の方に移動されてある。
勇気を振り絞る
そのグループの全員が顔を合わせる
謝ってくれたからきっと申し訳ないと思ってくれてるだろう
俺は屋上に行き、
一人で弁当を食べる。
誰もそれを見ていない。
見られていないことが、だんだん楽になる。
見られなければ、笑わなくていい。
話さなくていい。
気を遣わなくていい。
その代わり、
自分がここにいる理由も、分からなくなる。
自分を思い込ませてどうにか今日も生きる。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。