《スンミンside》
最近、時間が空くと行くところがある。
図書館。静かで、落ち着いてて、時間の流れがゆっくりしているように感じるから好き。
もちろん、本を読むのも好きなんだけど。歌の練習で行き詰まってどうしようもなくなった時に、息抜きに図書館でふらふら本を探す。
たまたま通りかかった棚に、女の子が一生懸命背伸びをして本を取ろうしてたのに遭遇した。
たまたまだけど、この子とよく会うようになった。
図書館みたいな子。静かで、落ち着いてて、時間がゆっくり流れるような子。
普段から、女の子にきゃーきゃー言われる職業だと、こういう子は新鮮。仕事の時は気にならないけど、プライベートとなるとやっぱり騒がれると疲れる。
そういえばこの子俺の歌で寝てるって言ってたな……。
無言で、きょんとんとした表情で顔を上げた。
そして何事も無かったかのように、また本に視線を落とす。俺がアイドルだとか芸能人だとか、そういう目じゃなくてただの友達とか知り合いみたいに扱ってくれて、ありがたいし心地いい。
でも、たまに……
たまに、じっと見られる。
これだけは謎。目が合うと気まずそうにパッと逸らす。
まぁ、いいや。特に意味はなさそうだし。
俺も本に集中しよ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。