できるだけ、できるだけ、取り繕って答えた
取り繕いは最善を尽くした
先輩の顔はいつもの優しい顔つきではなく
大人びた
決意の顔だった
その気持ちを無碍には出来ない
夕暮れ、夕日が射し込む公園に2人
先輩が大きく息を吐いた
それに合わせ私も話を聞く体制に入る
分かってはいた
決意はしていた
それでも…
いざ、となると頭がうまく回らない
先輩の優しい『うん』に誘われ
意志薄弱だった私は決心がついた
やっぱり先輩は凄い人だな
そっか…
いくら怖くても、先輩を好きになった
それは事実だったんだ
私は過去を話すことにした
私は好きだった人が居る
愛していた
その好きだった人は女の子
決して甘いだけの恋ではなかった
私にとって初めての恋は世界にとって異端のものだったから
『人間は黒い羊を排除したがる』
そんな言葉があったはず
その言葉は事実だった
嘘偽りない
だって、私は…
ううん。
あの子は…私の大好きな子は世界に排除されたから
堕ちていくあの子を止めることも、支えることも
何一つ。
何一つとしてしてあげられなかった
こんな結果になったのは私と関わったから
私達は両想いだった
ちゃんと告白して、お互いが好きだって確かめあった
その時が訪れるまで「は」甘々な恋だった
毎日が楽しくて、嬉しくて、毎日が夢の中のようだった
そうだよ。夢の中。
夢は夢で終わるんだ
私達が話している時に声が聞こえたんだ
気持ち悪い
その一言だけが
それからと言うもの、いじめが当たり前のように起きた。
私達は何事もない白い羊になり損ねた、黒い仔羊だった
暴力、暴言、盗み、盗撮、脅し、集団リンチ
私達の黒く染まった罪は制裁されていた
人を好きになること
人と愛し合うこと
誰かと共に行きたいと願うこと
それは重罪みたい
もう、許されないほどの
制裁の末、黒い仔羊の片割れは
全てが『破綻』してしまった
もう一方の片割れはと言うと…
ギリギリの所で堪えていた
そう、私はなんとか堪えていた。
人格すらも破綻した黒い仔羊を救おうと尽力した
不登校となった彼女の家を訪れ、たくさん話をした
でも、以前の笑顔は戻ってこない
2人で出かけると視線が怖いと泣いてしまった
私は何をすれば…
そんな日々。訃報は突然耳に入った
死因?そんなの一つだよ…
自殺。部屋で首を吊っているのが発見された
なんで…なんで…!!
もっと何かできなかったの!?
今思えば周りに相談したり
たくさんできることはあったと思う
そんな矢先、とある人から言われた言葉で私は限界を迎えた
「俺があいつとお前を離したよ。お前のためにな」














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。