おっ、はじめまして。トレイ・クローバーといいます。……いや、すみません。時間ピッタリに店に来たもんですから。昔の友人を思い出してしまって。あ、そうなんです。ここ俺がやってる店で。いちごタルトが美味しいって、結構評判なんです。良かったらどうぞ。いやそんな遠慮しないで。俺が食べて欲しいだけなんだ。……どうだ？美味しかったみたいだな。ははっ、顔見たら分かりますよ。いちごタルト好きなんです？そうなんですか、良かった。

 いやあ、インタビューなんてはじめてですから。緊張するなあ。……あの事件のことですよね？あれからもう3年ほどたちますかね。そりゃあ覚えていますよ。昔の友人…いえ、違いますね。今も大切な友達が殺されてしまいましたから…。

友達思いなんですねって？いやまさか。俺はそんなタイプじゃないよ。ただアイツとは色々あってね…。幼なじみでハイスクール時は同じ学校の寮で過ごしてたんだ。過ごした時間が長いんだよ。

……だからな、そのぶんショックだったな。
朝ニュースを見た時、20分ぐらいずっと固まってたんだ。20分、20分だ。笑えるよな。ははっ。

 リドルはとにかく努力家でね。こんなこと言ったら怒られるかもしれないが、俺から見ていた限り、家庭環境はそこまで良くなかったんだ。明らかに俺のが愛されていたし、家族仲も良かった。恵まれてたんだよ。それでも優秀だったのはリドルの方だ。誰がどう見てもね。一学年俺の方が上なのに、勉強ができたのはリドルの方だよ。俺も何度リドルにテストで助けられたことか…。

 小さい頃から色んなことを我慢していきた子でね。真面目に親の言う事を聞いて頑張ってきたやつだ。責任感が強くて、自信家で。怒りっぼくてちょっとめんどくさいやつだったなあ。……ごめん。ちょっと取り乱しちまって。…ｽﾝｯ。すまん。……良い奴とはとても言えないような人だったかもな。でも、悪い奴でもなかったと思うよ。俺は。

 惜しい人を無くしたよ。ほんと。優秀な魔法医術士でね。今でも生きてたら、どれだけ多くの人の命が助かったのだろうって、たまに考えるよ。

 それに同時にな、フロイドも亡くなってしまうなんて。学年も違うし、寮も違ったし。あまり接点はなかっだがな、まあ学校では色々目立ってたやつだったから……。いざいなくなってみると寂しいものだな。やっぱり。

 ……ん、だいぶ話し込んじまったな。そろそろ時間かな。こんなんで良かったかな？ああ良かった。他にも色んな人にインタビューするんだっけ。次はどこに行くんですか？……ああ、そんな遠くまで。大変ですね。俺達のインタビューを元に、あの事件について本を書くんですよね？出来上がったら連絡ください。興味あるんです。なんだが、リドルとフロイドがあんなめに合わなきゃいけなかったのか分かる気がするんです。

 あ、これ良かったらお土産に。いちごタルトです。美味しそうに食べてましたんで。リドルが1番好きだったのもいちごタルトなんです。よく作ってたんですよ。月曜日は定休日ですが、それ以外は店開いてるんで。よかったらまた来て下さい。あっいえいえ、こちらこそ。今日はありがとうございました。