第9話

第8話 壊れた心と償い
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2023/02/22 07:16
本当にむかつくな。
あんたらなんか、生まれて来なきゃ良かったのよ。
赤木小雪
うっ······
私は、立ち上がった。
ああ?なんだ、お前?
赤木香菜
謝れ······
は?
赤木香菜
小雪に暴力を奮ったことを謝れっつってんだよ。
なんだと!!てめぇ。親にその口の聞き方で、ただですむと思ってんのか!!
怒鳴られたが、そんなことでびびる私じゃない。ただ、今あるのは······怒りと憎しみのみ。
私は、一瞬で父の目の前に来て、胸ぐらを掴んだ。
赤木香菜
謝れっつってんだよ。クソじじい。
てめぇーーーー。
父は、私の手を掴むが、びくともしない。
は、離せ!!
赤木香菜
······
香菜ーーーー!!
母は、私をビンタしようとするが、片手で受け止めた。
な、なんなの。あんた。
なんか、母が言っているが、聞こえない。今の私の心は、闇に支配されているのだから······。怒りと憎しみだけの負の感情だけが残っている。この状態をとめることが出来るのはもういない。私は、完全に堪忍袋の緒が切れてしまったのだ。
こんなことをして、許されると······
赤木香菜
うるさいよ。てめぇらが、私に与えたもんは、この程度じゃねぇよ。孤独と苦しみ、両方与えられたんだからな。
くっ。わ、私達がわ、悪かったから、ゆ、許して······香菜。
赤木香菜
気前が良すぎるんじゃない。私が、虐められたのに何もせず、私に八つ当たりして······。小雪にまで、手を出して。また、私の大事な者を奪う気なのか!!てめぇらは!!
ね、ねぇ。私達も大事な者でしょ?貴方が小さいころ、私達が世話をしたのよ。ねぇ?
赤木香菜
私の大事な者は、この世界でたった一人の妹だけだ。お前らは、いらぬ。
そうすると、父親は、隠し持っていたナイフで斬りかかろうとした。
てめぇーーーーーー。死にやがれ。
私は、運動神経が良かったのと、怒りと憎しみの力で、かわし続けた。
(何故、当たらない······。くそっ。)
赤木香菜
······
がはっ。
香菜は、父の首を締めた
赤木香菜
甘いよ。ナイフはね。こうやって、使うんだよ。
やめっ。ぐはっ。(バタリ)
私は、ナイフで父を刺した。この手で。
貴方ーーーーー!!香菜!!あんた!!
ぐはっ。(バタリ)
そして、母も父と同様、ナイフで刺した。もう、私の心は、完全に壊れていた。私は、生まれて来なければ、良かったのか······。死ねば良かったのか······。
赤木小雪
お、お姉ちゃん······。
妹にみられた。いずれ、私は、警察に捕まるだろう。もう、何もかも、失ってしまった。どうせ、失ったこの世界にいるなら、死んだ方がましだ······。私は、自らナイフを自分に向けた。これで、私は、何も失った世界から楽になれる。誰も私が死んでも、きっと悲しまないだろう。そうして、私は、ナイフで自殺をしようとした。
だけど······
赤木小雪
や、やめて。お姉ちゃん!!
私は、その言葉で正気に戻ることができた。父も母も息の根をとめていた。私が殺したんだ。この手で。真っ赤な血にそまった手を見て、今の現状を理解した。私は、絶望した。何が間違っていたの?どうすれば良かったの?抱えきれない罪の重みに心が絶えきれなかった。
赤木小雪
······お姉ちゃん。
私は、小雪に抱き締められた。何でなの?私は目の前で、両親を殺したのに。何で、責めないの?私は、妹の行動が理解出来なかった。
赤木小雪
お願いだから。死なないで。私を一人にしないで。
私は、その一言で、全て思い出した。私は、あの時、誓ったんだ。妹だけは、絶対に護る。妹の笑顔を護ると。でも、今はどうだろう。私は、自分勝手に自殺をしようとして、妹を悲しませているだけだ。何が、妹を護るだ。何が、妹の笑顔を護るだ。それは、全て私の妄想だったんだ。
······
どうせ、死なないなら······私は······
償いをしなくては、ならない。
赤木香菜
······
本当は、死んだ方がいいと思ったけど、これ以上、妹の悲しい顔をみたくはない。
赤木香菜
ごめんね。
ただ、一言。妹に言った。そして、私は覚悟を決めた。妹と暮らして、妹をいっぱい笑顔にして、時には人を助けて······。それが、私にとって、精一杯の償いだから。

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