自由行動OKだから基本皆自分の滑りたいコースに行く
青子の声が後ろから聞こえた
振り返ると、さっきまでいなかった青子がスキー板を引きずりながら必死に追いかけて来ていた。
その姿を見て、なんとなく違和感。
そう言いながらも足は震えて不安定。
もしかして、無理に上から滑ろうとしてる?
うーん。
慌てて首を振る青子
快斗がニヤッと笑いながら言う
青子がストックを振り上げた
うん、やっぱり無理してるね。
そうは言っても、青子の表情が安心したように見えた。
なんて言いながら、つまらなさそうに前を向く。
でも、その口元は何となく笑っていた。
青子は青色のスキーウェアをふわっと着こなしていて、
いつもよりちょっとお洒落に見える。
私のスキーウェアは白。
こんな真っ白な雪の中じゃ目立たない色だ。
快斗は紫っぽい黒に近いウェア。
本人は気にしてないみたいだけど、意外とスタイルがいいからそれなりに決まってる。
快斗が呆れたような顔をする
青子は素直に快斗の凄さに感心している様だった。
私は、私の声なのがちょっと悔しかった。
快斗が呆れたように言う。
確かに、転びまくってるし、周りの人にもぶつかりまくってるしで、もう見てられない。
直ぐに転がっている青子に近寄って立ち上がる手伝いをする。
なんとか青子を回収して、快斗と二人で両腕を支えながら一緒に滑ることに。
青子が得意げに言う。
確かにさっきよりスムーズかも?
……なんて思った瞬間。
青子が思いっきり転んだ。
当然、真ん中が転ければ両サイドの私たちも______
ボスッ
顔を上げると、私たち三人とも雪まみれ。
その姿があまりに間抜けで、思わず笑いがこみ上げてくる。
でも、青子も笑ってるし、快斗も小さく吹き出してる。
周りから見たら、ただの雪まみれの変な三人組だろうな。
でも、なんかこういうの、嫌いじゃない。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。