暗い森を抜けると、ぽつんと小さな山小屋が現れた。
明かりはついていないけど、屋根の形はしっかりしている。
雨風はしのげそうだ。
まだ城を抜け出したばかり。
背後で鳴り響いていた警鐘の音が、まだ耳の奥に残っている。
こはねは冤罪。
それだけは、はっきりしている。
……でも、あの国は聞いてくれなかった。


一歌の言葉は落ち着いていて、
こはねの肩の震えが少しだけ弱まった。
私は念の為、扉の周囲を確認してから中に入った。
湿った木の匂いがするけど、
暖炉も簡易的な干し草の寝床もあった。

一歌がランタンに火を灯してくれた。
橙色の優しい灯りが、暗い部屋を少しだけ暖かく照らす。
図星だ。
どうして、初対面でそんなことまで分かるの?
たけど不思議と、一歌の声には押しつけがない。
ただ事実を見て、判断し、喋っただけ。
こはねは小さな声で、私の袖を摘んで泣きそうになる。
一歌は少しだけ目を見開いた。
一歌はランタンの火を見つめたまま答えた。
私はこはねをそっと抱き寄せた。
こうしていると、ほんの少しだけ息がしやすくなる。
その言い方はとても誇らしげだった。
でもその強さに、少しだけ安心した。
こはねの手を握りながら横になると、
ホッとしたようにこはねが息をついた。
ただ、このひと時を守りたい。
避難所の小さな灯りが、
逃げ続けた私達の初めての休息を照らし続けていた。
To Be Continued……












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!