歌の迷廊は、まるで巨大な楽器だった。
揺れる壁、踏む度に音のなる床、天井を走る光の波。
その全てが、私たちの声を“待っている”。

門番の声が再び響いた。


こはねが小さく手を上げる。


こはねが胸に手を当て、そっと声を出す。
――♪
透明で、澄んだ音。
続いて一歌が重ねる。
――♪♪
こはねより少し低く、寄り添うような音だ。
えむはふわっと柔らかく元気なハミングで続き、
私も呼吸を合わせて声を重ねた。
問題は――
天馬先輩だ。
天馬先輩の音がズレる度に、迷廊の壁がガガガッと回転する。
今度はやりすぎていた。
少し時間が経ってこはねが深く息を吸う。
こはねが優しい音を加え、
一歌が芯のある音で支え、
えむが明るさを添え、
私が輪郭を整え——
天馬先輩が、そっとその中心に音を添えた。
今度はズレなかった。
五つの声が重なった瞬間、
迷廊全体が光に包まれた。
壁が一つずつ消えていく。
道の先に、鮮やかな光が差し込んだ。
その時、門の向こうに広がる景色が見えた。
虹色の光が降り注ぎ、夢のような情景が辺りを包む。
こはね、一歌、私は、自然と足を止めた。
新しいセカイが、私たちを待っていた。
To Be Continued ……












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。