あの少年と出会ってから、3ヶ月くらいが経ち、僕らは親友のような関係になっていた
でも、気になる事が一つだけあった
彼は……自分の名前を教えてくれないのだ
どんなにしつこく名前を聞いても、別の話題を出されて毎回もみ消されてしまう
彼は僕の名前を知っているのに……
何だか、自分にだけ隠し事をされているような気がして嫌な気持ちになった
ある日の昼間の事
僕はいつも通り、食料を探して森の中をさまよっていた
すると突然、人間の悲鳴が森の奥から聞こえた
「ったぁ?!?!」
僕は、声のする方に走って行く
……するとそこには、あの少年の家の写真に写っていた少年らしき人が、恐ろしい物を見る目で僕を見つめてきた
彼は泣き叫びながら、必死に助けを求めていた
彼は……
いなくなった……あの少年のお兄さん……?
昔死ぬほど浴びせられた罵声を思い出す
『お前はこの世に存在してはいけない』
『死ね、醜い狼』
彼は、脅えているだけ
きっと何か、昔の思い出が邪魔をしているだけ……
本心は、そんなこと思っていないはず……
大丈夫、大丈夫……
僕は彼を傷つけない……
僕は、ゆっくりと彼に手を伸ばす
彼の頬に手を当てて、安心させるように彼に言う
パァンッ!
すると、突然僕の腹に激痛が走った
僕は慌てて後ろを振り向く
「あたったぞ!行け行け!」
「狼を捕えた!」
腹から大量の血が漏れ出す
僕は地面に横たわって、出血を止めようと必死に手をおさえる
いつの間にか、僕らの周りには沢山の村人が集まっていた
僕は黒い髪の少年に助けを求めるが、彼は震えて動かない
「まだ生きてるぞ!もう一度撃て!」
一人の男がそう言った瞬間、後ろからカチャッと銃を構える音が聞こえた
僕…………死ぬのかな
何も出来ないまま…………
そう思った時にはもう遅く、男は銃の引き金を引いた
パァンッ"!!!!!!!!!!
固く目を閉じる
…………が、数秒経っても激痛は走らず、僕はゆっくりと目を開けた
…………僕の視界には、赤い髪に赤黒い血
そこには、あの少年が肩から大量の血を流してこちらを見つめている姿があった
バタッ
━━━━━━━━━━━━━━━
(´;ω;`)
書いてなかったけど、森で出会った少年は赤い髪ってことにしといてください( ◜௰◝ )
もう誰かわかるだろうけど( ◜௰◝ )
後、現在るぅとくんは12歳です( ◜௰◝ )
もしかしたら中編2つになるかもしれません(´・ω・`)
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。