校舎のほうに近づくにつれて、人影が増えてきた。
今日は休日のはずだけど、全寮制だから生徒がいてもおかしくないんだろう。
それにしても……
女子たちからの視線がすごい……
視線を集めているのは、もちろん私ではなく隣にいる舜。
みんな目をハートにして、舜のほうを見ていた。
知らない名前がちらほらと聞こえるけど、どうやら女子たちは生徒会の話をしているらしい。
生徒会って、人気なんだなぁ……
…やっぱ蓮兄人気だよね~
イケメンだし。身長高いし。強いし。自慢の兄だ。
…うるさい。
ってお前らと蓮兄は釣り合わないし。
殴りて~
くすくすと笑い声が聞こえてきた。
…すげぇイラつくんだけどアイツら。
私はそう口にして、視線を前に戻す。
校舎に入って廊下を進む。ある部屋の前で、舜は足を止めた。
立派な造りの扉の前、表札には舜が言うように、理事長室の文字。
3度ドアをノックし、舜はドアノブに手をかけた。
中から、返答はない。
しかし、舜は重たそうな扉をいとも簡単に開け、私に入るよう促した。
と言って、足を踏み入れる。
扉の先にはクラシック調な広い一室があり、奥の席に親父が座っていた。
親父は私の姿を上から下まで眺めた。
まあ数年ぶりに会うし、色々変えたから驚いてもしょうがない。
言われた通りにソファに座った。
校長室のソファはふかふかってよく聞くけど理事長室のソファもふかふかだわ。
私の隣に舜も腰を下ろす。
へぇ……活発な学校なんだな……
…何故?間違いすぎじゃない?
由姫もいるの⁉最高じゃん!
あ、でも気づいてくれるかな…?
しかも蓮兄…
そう言って笑う理事長に、本当にこんな人が理事長でいいのだろうか……と、
疑問に思ったのは心の中に留めておこう。
さっきまで黙って話を聞いていた舜が、呆れたようにため息をついた。
なんだか、舜って苦労人そう……
少しだけ焦った様子を見せた舜を不思議に思いながら、その後ろをついていった。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。