善人が多くいるその都は
江戸時代前世の町並みが広がっている。
霊から人型でないものもいる。
それらをくくり、俺達は"成れの果て"と読んだ。
目の前の男に深々と頭を下げる
私の背を帰るよう促すように手を添える。
死神さんは船着き場の近くに吊るされている、
翡翠色に光るランタンを持ってくる。
手を煩わせてしまったな…。
申し訳無さを感じつつ、私は役所まで足を進めた。
足元からは一定のリズムで、
草が靴や足に擦れる音がする。
私は話題的な感じで話をふる。
な、何言って………
だって周り真っ暗だし、
じゃぁこの星空や暗さはなんだ?…
連動か……
黄泉の国にも天候とか昼夜が存在するのに少し驚きだ。
本当に心配していたんだろう、
雑面を横にずらしていて、少し呼吸が荒い。
それにしても…
今"ものすごく怖かった"のはなんでだろ…
上司にいちいちこんなふうに怒鳴られてたから慣れてるはずなのになっ……
それに今は心配?で叱ってくれてるんだし…
へんなの、………
上天さんがこちらを見てきたため、
何故単独で動いたのか、
経緯を説明しようと声を発そうとした時……
声を出している、今声を発しようとしてる。
なのに、口がパクパクとするだけで
空気だけが口から出ていく。
喉を触ろうと腕を動かそうとすれば
今度は足から崩れ落ちるようにへたり込む。
体を支えようと手を伸ばされた。
上天さんの姿勢に
ノイズの入る記憶が呼び起こされた。
黒い人影が不敵に笑い手をかぶせてくる。
私はその瞬間目を見開く
ひどいノイズとよく見ようとすれば
鈍器で殴られたような頭痛に頭を抱える。
私が嗚咽をあげ、
涙を流すと同時に近くからバチッ!!と音がし、
死神さんの呻き声が聞こえる。
皮を裂くような鋭い痛みに閉じた目を開けると手のひらに深い切り傷が走っており、
あなたから抜き取った魂が赤黒く変色している。
ロボロは唖然と目の前の現状を処理しようとしているように見て取れた。
激しい頭痛に私は耐えきれず気を失った。
彼女が意識を失った瞬間、
死神さんの傷は癒え、
赤黒くなった魂は澄んだコバルトブルーに戻る
状況が把握できない中、
一同は立ち尽くしていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。