第11話

十一話
301
2022/12/14 09:07






死神
成れの果ての都







善人が多くいるその都は


江戸時代前世の町並みが広がっている。









霊から人型でないものもいる。

それらをくくり、俺達は"成れの果て"と読んだ。
死神
半霊さんが向こうに行くんは、ちと危険やな
華崎
…………そう…ですか。
死神
それに、いくら名前やら死因やらを知っててもなぁ〜。
向こうには何千、何万の故人がおる。
死神
今どこにいるか分からんなら、
探すのは至難しなんわざやで
華崎
、………でも、私は今、バレにくいんですよね?
死神
え?……あ〜、せやな。
上手いこと隠せてるで、俺もさっき騙されたw
華崎
なら、届けに行きたいんです!
お願いします!乗せてってください!



目の前の男に深々と頭を下げる
死神
まぁ聞いてやれんこともないけど…、
アイツには伝えてあるんか?
華崎
え?…、あいつ?
死神
ほら…ロボロや、ロボロ。
華崎
上天さん…に?…、…いえ…言ってないです。
死神
まさかここに来てることも言ってなかったり?
華崎
……………はい。言ってないです。
死神
………………はぁ……
死神
帰るで、送る。
華崎
え、でもこのお守り……
死神
あ〜…………じゃぁちょっとつてを呼ぶわ
死神
だけど今日はもう遅い、アイツが心配するやろ
華崎
……すみませんでした…。
死神
今日だけそれ預かっとけ、
明日伝を連れて役所行くから…。


私の背を帰るよう促すように手を添える。


死神さんは船着き場の近くに吊るされている、
翡翠色に光るランタンを持ってくる。
死神
さ、戻るで。


手を煩わせてしまったな…。

申し訳無さを感じつつ、私は役所まで足を進めた。





足元からは一定のリズムで、
草が靴や足に擦れる音がする。
華崎
彼岸にも夜とかあるんですね。
私は話題的な感じで話をふる。
死神
ん?……これ夜やないで?
華崎
へ?
な、何言って………


だって周り真っ暗だし、
死神
彼岸に此岸みたいな天候、昼夜は存在せんよ。
華崎
そ、…なんですか?
じゃぁこの星空や暗さはなんだ?…
死神
黄泉の国と此岸と連動してるんよ
華崎
死神
まぁ、此岸には昼夜があるやろ?
華崎
はい。
死神
それと同じで、
黄泉の国にも昼夜とか天候があるんやで。
華崎
……そ…言うものですか……
死神
せやからあくまでもここに昼夜と天候は存在せんで。
言うなりゃただのカーテンやな。
華崎
へぇ………そうなんですか…。



連動か……



黄泉の国にも天候とか昼夜が存在するのに少し驚きだ。
華崎
てことは…今地上がよr((
上天さん
華崎さん!!
華崎
死神
お、やっぱ探しとったか。
上天さん
何してたん!?!、
華崎
ビクッ…!
上天さん
馬鹿か!?!、
君は単独やと危険が多いんやで?!!
ちゃんと自覚しとんか?!!
本当に心配していたんだろう、
雑面を横にずらしていて、少し呼吸が荒い。




それにしても…














今"ものすごく怖かった"のはなんでだろ…



上司にいちいちこんなふうに怒鳴られてたから慣れてるはずなのになっ……

それに今は心配?で叱ってくれてるんだし…











































へんなの、………       



死神
ロボロ。
上天さん
死神
あんま責めてやんなや。
コイツにはコイツの事情で行動しとったんや。
上天さん
…事情?
華崎
っ…………ッッ………?
上天さんがこちらを見てきたため、
何故単独で動いたのか、
経緯を説明しようと声を発そうとした時……
上天さん
華崎
……??
声を出している、今声を発しようとしてる。


なのに、口がパクパクとするだけで
空気だけが口から出ていく。

喉を触ろうと腕を動かそうとすれば
今度は足から崩れ落ちるようにへたり込む。
上天さん
ちょ!どしたん!
死神


体を支えようと手を伸ばされた。

上天さんの姿勢に
ノイズの入る記憶が呼び起こされた。


黒い人影が不敵に笑い手をかぶせてくる。
私はその瞬間目を見開く
上天さん
大丈夫か?なんやねん急に…
華崎
な…………に…。



ひどいノイズとよく見ようとすれば
鈍器で殴られたような頭痛に頭を抱える。



私が嗚咽をあげ、
涙を流すと同時に近くからバチッ!!と音がし、
死神さんの呻き声が聞こえる。
死神
っ!い"っ!!
上天さん
ゾム!!?
死神
っ……なんや…、っ…


皮を裂くような鋭い痛みに閉じた目を開けると手のひらに深い切り傷が走っており、
あなたから抜き取った魂が赤黒く変色している。
上天さん
………
ロボロは唖然と目の前の現状を処理しようとしているように見て取れた。
死神
なにがおきてん!!
華崎
っ…………こ、なの………………知らない…。
激しい頭痛に私は耐えきれず気を失った。
彼女が意識を失った瞬間、
死神さんの傷は癒え、
赤黒くなった魂は澄んだコバルトブルーに戻る





状況が把握できない中、

一同は立ち尽くしていた。








上天さん
何が起きてん………










プリ小説オーディオドラマ