僕はお姫様抱っこされたまま、仙蔵の顔を見上げて「だ、大丈夫…」と答えた。
しかし次の瞬間、自分のサラシが緩んでいることに気づく。
顔から一気に血の気が上り、僕は慌てて仙蔵の胸を押し、身を捻る。
すると、まるで攻撃でも仕掛けるかのようにひらりと身体をひねり、地面に軽やかに着地した。
焦りに満ちた声を残し、後ろも振り返らず駆け出した。
仙蔵は_____ただポカンとした表情で、その背中を呆然と見送る。
時間が数秒止まったように、声も出ない。
風が木々を揺らし、はっと我に返る仙蔵。
あなたの下の名前はすでに少し先まで走り去っている。
僕は仙蔵に追いつかれないように必死に走っていた。
そう思ったその瞬間、足元がガクッと沈み、体が落ちた。
ドサァッ。
僕は暗い穴の中に転がり込んでいた。
ズキッッッ
顔をしかめ、必死に息を呑んだ。
その時だった。
上からのんきな声が降ってくる。僕は思わず目を丸くした。
見上げると、穴の縁にひょっこりと顔を出したのは_____
_____暗くてよく見えないがウェーブが掛かった長髪の男の子......??
穴の上から顔を出している男の子は、ぽりぽりと頭をかきながら小さくうなずく。
荷物を見せながら、どこか申し訳なさそう……というより、マイペースな感じで言葉を続ける。
ぱたぱたっと足音を響かせて走り去っていく。
暗い穴の中にひとり取り残され、じわりと汗ばむ額を袖で拭った。
足音が近づく。
僕は穴の中から耳を澄ました......
穴の上から現れたのは伊作だった。
僕はほっと胸をなでおろした。
伊作はニコッと笑って微笑んだ...
そう言うと僕をおんぶする形で背中に抱え、慎重に穴の中から引き上げた。
僕は少しびっくりするも、背中から伝わる温かさに心がじんわりとほどけていくのを感じた。
思わず深く息を吐くと、体が自然と委ねられ、心地よさに目が重くなっていくと僕はそのまま眠りについてしまった.........











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。