第4話

┊͙カウンセリング┊͙
216
2018/03/23 13:00
輝瑠
よっ
カウンセリングが11時30分からなため病院へ行く準備をしていると輝瑠さんが家まで迎えに来てくれた


ちょうど準備も終わった所で鞄を持って彼と家を出た


鍵も持ったし携帯もお財布もある


よしっ
迎え来てくれてありがとう
輝瑠
全然平気、それより昨日1人で大丈夫だったか?
大丈夫だったよ

怖くて不安だったことは秘密にしておこう


その方が心配かけないよね


そういえば昨日からずっと輝瑠さんにお礼を言ってばかりだった


それくらいお世話になってるんだろうな
輝瑠
俺今日、用事があって病院の迎え遅れそうなんだ
少しだけ待っててくれ
そんな、いいのに
道も覚えないとだし1人で帰れるよ
輝瑠
駄目だ、何かあってからじゃ遅いだろ?

確かになにかあってからじゃ遅い、今でも迷惑かけてるのにこれ以上かけるわけにはいかない


大人しく待っていよう


昨日歩いた道を歩いても何も思い出せない


新しい街に来たみたいだ
あの、そういえば輝瑠さんは大学生…?

見た感じ大学生くらいに見える


そういえば私、何歳だっけ……
輝瑠
そ。
大学生、お前も俺と同じ大学で20歳
今は春休み

良かった…


高校や大学は義務教育じゃないって事は覚えていた


これで春休みじゃなかったらきっと留年してる所だ


またしばらく歩くと病院についた


輝瑠さんが受け付けをしてくれて私も今後自分で出来るように覚える


覚えると言っても保険証を渡すだけだったからこれからは自分で出来そうだ


待合室に座る
輝瑠
じゃあ俺行くから、迎え遅くなるけどちゃんと待ってろよ?
うん、待ってる

輝瑠さんは病院を出た


まだまだタメ口慣れないな…


その前に私は記憶を失くす前、輝瑠さんのことを何でも呼んでたんだろう


トーク履歴を見ても名前を呼んでる文は無かった


変わらず輝瑠さん?それとも輝瑠くん?


呼び捨てだったり…?


相手は私の事呼び捨てだから私もそうだったのかな?
看護師
川上雫さん
はい!
看護師
こちらにどうぞ〜

時間になって診察室に案内された


中に入ると看護師さんは扉を閉めて出て行ってしまった


カ、カウンセリングってやっぱり2人きりなんだ


視線を前に向けるとこの前と同じ白衣を着た人
尚人
こんにちは

優しい笑顔で挨拶をする姿も様になっている


挨拶を返すと座って良いよ と言われたので背もたれのある椅子に座る


先生の前にはパソコンがありカルテも置かれている
尚人
あれからどう?
何か思い出したりした?
小さなことでも良いよ

小さな事…


私は思い出したことを言葉に出した
さ、サバの味噌煮が好きって事だけ覚えてました!

私の言葉に先生は一瞬びっくりしたのかジッと私を見た


その後にお馴染みの微笑みで、
尚人
そっか、サバの味噌煮か
美味しいよね

カウンセリングの先生だからなのかとても物腰の柔らかい人で話しやすい


私と輝瑠さんと年齢変わらないのかな
突然何ですけどおいくつ何ですか…?
尚人
僕?
僕は23だよ

と、年上だった…!


でも23歳で病院の先生だなんて凄すぎる


勉強頑張った証拠だよね
尚人
川上さんは20歳で大学生だよね
はいっ
でも全然覚えてなくて…

どこの大学でどんな講義を受けてたのかも分からない


段々思い出せない自分に腹が立ってくるし悲しくもなる
尚人
イライラしたり悲しかったり不安になったり…色んな感情が出てきて自分でもどうすればいいか分からないだろうけど、大丈夫、君は今充分頑張ってるよ

優しい…


カウンセリングとして優しいのか心の底から優しいのか何てそんなのはすぐに分かった


この人は心の底から優しい


会話が弾んで診察が終わると私はお会計も済ませて輝瑠さんを待つことにした


ソファーに座ったあとメッセージが来てることに気づいた
輝瑠
〝わりぃ、もう少し掛かりそう〟
〝大丈夫、待ってます〟

返信をして天井を見る


数日前、目が覚めるとこれと同じ天井をみた
尚人
あれ、川上さん
あ、先程は診察ありがとうございました

白衣を着てない先生が財布だけを持っていた
尚人
全然いいよ、川上さんは帰らないの?
輝瑠さんが暫く遅れるみたいで、ここで暇つぶししてました
尚人
なるほど
あ、じゃあお昼ご飯一緒にどうかな?

財布を顔の高さまで持ってきた


気づけばもうお昼の時間だ


確かにお腹も空いた


でも、
私と一緒だと疲れませんか?

さっき診察していた患者とお食事何て先生はそれで休めるのかな


お昼くらいはのんびりと休んでほしい
尚人
白衣を着てない今、僕はただの人だ。
だから今、君と僕は相談して聞く友だちみたいなものだよ

相談をして聞く友だち…
尚人
あと僕お昼は誰かと食べたいんだ
1人で寂しいおじさんにお昼付き合って?
そんなおじさん何て__!

まだまだお兄さんだ!


それも看護師さんにモテモテの!


通りかかる看護師さんに声をかけられ看護師さんはうっとりしていた
尚人
って…ごめんね、無理強いはしないから
あ、いえ!
あの、お昼ご一緒させてください!



そうして私と先生は食堂に行った___

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