第34話

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2021/03/11 09:43
貴方side
自動販売機の隣の椅子に腰掛けながら
りんごジュースをゆっくり飲んでいた時。
小瀧望
小瀧望
あの歌は
どちらかといえば
あなたの気持ちを代弁した曲やな。
あなた

…のんちゃん。

ギターを持ったのんちゃんが
自動販売機の前に立ってジュースを買っていた。

のんちゃんが買ったのは
大ちゃんも飲んでいたあの炭酸飲料。

自動販売機から炭酸飲料を取りだしたのんちゃんは
私の隣に座って炭酸飲料を眺めていた。
小瀧望
小瀧望
……この炭酸飲料見てるとさ
しげ思い出すよな。
あなた

……そうだね。

どうして私の前だけに現れたんだろう。

皆も会いたかったはずなのに
大ちゃんも皆に会いたかったはずなのに

どうして私だけに現れたんだろう。
小瀧望
小瀧望
あなた?
なんかあった?
あなた

……どうして。

小瀧望
小瀧望
ん?なにが?
あなた

…のんちゃんはさ?
のんちゃんが先輩みたいになった時
生まれ変わったりしてこの世界に
戻ってこれたら誰に1番最初に会いたい?

小瀧望
小瀧望
……ん〜、誰やろな。笑笑
……もししげみたいに
俺が誰かの恋人でその恋人を置いて
先に逝ってもうたんなら
その恋人に会って俺は大丈夫やでって
伝えるかな。
……お前も幸せになりや?って
俺やったら伝えるかもな。
だって愛してる人やもん。
そりゃ、沢山会いたい人居るで?
家族とか友達とかさ?
でもまずはやっぱり…好きな人やろ。
あなた

……そっか。

小瀧望
小瀧望
おん。
…あなたは?
誰に1番最初に会いたい?
あなた

…………先輩だな。

小瀧望
小瀧望
ほらな。笑笑
………元気そうやった?
あなた

……え?なに?笑

小瀧望
小瀧望
あなたがそんな質問するなんて
ないからさ。
……会ったんやろ?
元気そうやった?
あなた

……うん。
やっぱり、のんちゃんは
私の言うこと聞いてくれたやろって
自慢げに話してたよ。

小瀧望
小瀧望
……そっか。笑
他にはなんか言ってなかった?
あなた

……幸せになりって。
最後に言ってた。
大ちゃんの世話も頼んだって。

小瀧望
小瀧望
幸せになり…か。
あなた

…でも、俺はあなたの彼氏やからな。
って言ってたから別れた事じゃ
ないよね?

小瀧望
小瀧望
………そりゃないやろ笑
しげは意外と一途やからな。
向こうでもずっと思ってると思うで。
なんかまた新しい曲
作ってそうやもん。笑
俺も聞きたいな。
あなた

……ふふっ。そうだね。作ってそう。

小瀧望
小瀧望
やろ?笑笑
のんちゃんと先輩のことについて話せば
のんちゃんが買ったジュースが半分くらいに減り
私もさっきより大分減っていた。
小瀧望
小瀧望
……俺も、会いたいな〜。
あなたと居ったら会えるかな〜!笑
あなた

……会えるかもね。

間違いなく
大ちゃんは1回くらい皆に顔を出すに違いない。

大ちゃんものんちゃんみたいに
仲間思いで家族思いだから。
神山智洋
神山智洋
あ、あなた!のんちゃん!
2人で話していた時

智にぃがバンド仲間と一緒にこっちに来た。
あなた

どうしたの?笑

神山智洋
神山智洋
…今日みんなで帰ろ。
もうちょっで文化祭も終わるから
終わったらメールして。
あなた

うん!笑
分かった。笑
のんちゃん、戻ろっか。

小瀧望
小瀧望
せやな〜。
神ちゃん、俺も一緒に帰ってええー?
神山智洋
神山智洋
もちろん!帰ろ帰ろ!
のんちゃんの話もしててん!笑
藤井流星
藤井流星
やっぱ望
歌上手いわ〜!
ピアノもギターも上手かったわ!
もっと早く来ればよかったんに。
小瀧望
小瀧望
それはちょっと嫌やわ笑
皆で自分のクラスに戻るちょっとの時間でも
途中まで一緒に帰った。
小瀧望
小瀧望
あれ?
濵ちゃんと照史は?
神山智洋
神山智洋
あぁ〜
なんか職員室に行くって。
挨拶しに行くらしいわ笑
小瀧望
小瀧望
なるほどな〜。笑

















のんちゃんと一緒に教室に入れば
教室からは拍手が鳴り響いた。
どうやらクラスの全員がのんちゃんの
バンドの演奏を聞いたらしい。

のんちゃんも嬉しそうに一つ一つ対応していた。
中間淳太
中間淳太
…はい、今年も無事に
文化祭が終わりました。
……小瀧、お前の演奏よかったぞ。
神山も。
あなた

私?

中間淳太
中間淳太
……お前も色々な苦難を乗り越えた。
よう頑張った。
あなた

……先生。

中間淳太
中間淳太
………今日はこれで終わり!
明日は文化祭の片付けとかあるから
遅れんなよ〜!
勝手に休むなよ〜!
先生の解散の合図で帰っていく生徒たち。
小瀧望
小瀧望
あなた!行こう!
あなた

うん!

のんちゃんに声をかけられ
私ものんちゃんの隣に並んで
智にぃのクラスまで一緒に向かった。



























濵田先輩、照史先輩、流星先輩、智にぃ、
そしてのんちゃんで私。

この順番で並びながら学校から帰っている。
流星先輩が下駄箱でしげに挨拶しようってことで
私たちは全員賛成して先輩の家に向かっている。
思い出話に花を咲かせた皆が誰も口にしていないのに
わざと遠回りで先輩の家に向かう。

遠回りをする時に必ず通る
あの皆がよく集っていたと言うあの公園。

先を歩く照史先輩や濵田先輩が足を止めて
智にぃも流星先輩も足を止めた。

後ろにいた私とのんちゃんは
何故足を止めたのか分からない。
あなた

智にぃ?どうしたの?

神山智洋
神山智洋
………あれ、見てみ?
そう言った智にぃの目には涙が溜まっていた。
他の先輩の目にも涙が溜まっていた。

智にぃが指を指した方を見れば…
あなた

……っあれって。

公園の柵の近くの草の隙間から見える
夏休みから姿を消していたもの。

その草で遊んでいる少し大きくなったもの。



私が皆を抜いて先を歩けば
皆も後から付いてくる。

私がそれを優しく抱きあげれば
皆は涙を流した。
あなた

……大ちゃん。

猫
…ニャー、ニャー
先輩が私のために作ってくれた
サプライズの曲の歌詞を思い出して

皆がまた更に涙を流した。

私も涙が溢れた。



ありがとう。

フラッと現れくれて。


私はまた、幸せだよ。

私だけじゃない、皆も幸せだよ。

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