[りょう視点]
彼女作り対決。
各々企画と称して女の子に声をかけて
カノ活をしよう!みたいな企画だった。
このバカみたいな案はてつや発案。
ただナンパの口実が欲しいだけでは?
なんて思いつつ、
なんて言って声をかけようかなって名古屋の街
を歩いた。
すれ違った瞬間、少しだけ甘い匂いの綺麗な子
を見掛けた。
なんでだか分からないけどこの子だと思って
声をかけたその子は、
昔近所の公園で泣いていた女の子だった。
2年くらい顔を見てなかったけどすっかり
大人っぽくなっていて、それでも優しそうで
穏やかさが顔に出てるのは変わってなかった。
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「お兄ちゃんが覚えてくれてたの嬉しかった。」
そう言ってぽろぽろと涙を流すのを見ると
なぜだかときめいてしまった。
相手は近所の女の子なのに。
いまだにお兄ちゃんと呼んでくれるのは
きっと俺を慕ってくれているからなのに。
邪な思いで声をかけてしまった自分に嫌気がさす。
こんな時間だ、間違いが起こるといけない、
そう思って返そうとしたのに、
気付けばLINEを交換しようなんて言ってしまった。
…ダメなお兄ちゃんだよな。
嬉しそうな顔を見てまたときめいてるんだもんな。
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車に乗り込んでスマホを見るとあの子からのLINE。
[あなた:今日はありがとう、突然泣いてごめんなさい。会えて嬉しかった!]
[あなた:今日もかっこよかった、おやすみなさい!]
一通目から4分後の二通目のLINE。
…かっこよかったって送るの迷ってたのかな。
意識、してくれてんのかな。
車の中で1人、「あーー。ウザすぎる。可愛すぎる。」
って叫んだ。
車の外にも聞こえたかな。
あたりを見渡そうと左を向くと、てつやが
「聞いちゃった♪」って顔をしてこっちを見ていた。
即座に鳴るグループラインの通知。
…どう説明しようかな。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。