私は目の前にそびえ立つ豪邸を見上げる。
本当にここで合っているのか急に心配になり、お母さんからもらった地図を何度も確認した。
……大きな家とは聞いていたが、まさかここまでとは。
私はしばらく門の前で呆然としていた。
私は、あなたの名字あなたの下の名前。
両親が海外へ赴任することになったため、日本に残る私は今日からこの家のお世話になる。
私のお母さんが、ここの家の主人――虹ヶ丘ヨヨさんと知り合いらしい。
しかし、私は全く面識がない上に、極度の人見知りだ。
急に一人で知らない人の家に来て、上手くやっていけるものか。
お母さんの無鉄砲な性格が、こんなところで災いするなんて。
私は小さくため息をつき、何度か躊躇ってからインターホンを押した。
すると、青い髪をサイドテールにした女の子がドアを開けた。
彼女が家の中に呼びかけると、思ったよりたくさんの人が来た。
兄弟かな?
五人兄弟か、多いな……。
青い髪の女の子が深々と頭を下げる。
その後ろから、臙脂色の髪をお団子のハーフアップにした女の子が自己紹介を始めた。
優しそうな感じの子だ。
見る者を安心させる、優しい微笑み。
私の緊張がいくらか緩んだ気がした。
次に自己紹介を始めたのは、オレンジ色の髪の男の子だ。
頭頂部でくるんと丸まったアホ毛が可愛らしい。
まだ声変わりを迎えていない、澄んだ声。
……なんだろう、どこかで聞いたことがある気がする。
気のせいかな?
次は、年上に見える茶髪の女性だ。
その腕には、紫色の癖っ毛をした赤ちゃんを抱いていた。
……すごい、明るい人だ。
私の苦手なタイプの人……。
悪い人ではなさそうだけど……。
すると、その奥から、長い白髪を後ろで束ねた女性が姿を現した。
……やっと、言えた。
人見知りなせいでかなり噛んでしまった。
でも、みんなはそんな私を温かく受け入れ、優しく微笑んでいた。
――私の新生活は、果たしてどんな日々になるのだろうか?













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。