仰向けになって、完全に日が沈んだ空を眺めながら、そう呟いた。あのあと最善の技が思いつかず、ただ炎に呑まれた。
…正直、イアンに負けるとは思ってなかった。
私は塔にいた頃、10回はイアンに勝ってるし、引きこもっても修行は怠ってなかったから。
私が呟くと、イアンは聞きたいことは分かってる、というように微笑を浮かべた。
一度負けても無駄にはしない。
これが副隊長、これがイアン。
…私とは違う、いつまでもへこたれてる私とは。
…お見通し、か。
イアンは私の前に立ってこちらを真っ直ぐ見つめている。
私は上体を起こす。深呼吸して、真っ直ぐなイアンの目を受け止める。
そう、本当に…
パシン!!!!
頬に____鋭い痛みが走った。
その翌日。東京異変。
___ビリアンは、死んだ。
イアンに電話で言われてすっ飛んでいったよ。
でも、間に合わなかった。
ビリアン、泣きながら、ボロボロになりながら、死んじゃってた。
最後の言葉が大嫌い、なんて。
最低だよ、私…。
いや、
イアンは、ぶっちゃけ、師匠の同僚というだけ。
私の面倒を見る義理も無いのに、俺が引きこもったせいで、わざわざ日本まで来た。
まだ俺が目を覚ましてないせいで。
涙が、頬をすべり落ちる。
そう言って、イアンは私の頭を撫でた。
とても、優しい手だった。
続く














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!