教室にて、由希と夾の目に、慊人と向かい合うアクア達の姿が飛び込んできた。
慊人を見た由希と夾が、教室内で硬直した。その表情から、クラスメイト達が尋常じゃない状況であることを悟る。
魚谷がめずらしく黙りこくる二人を見て首を傾げた。
由希の呼吸が荒くなる。
夾はベランダに出ると、女子達の悲鳴と共に飛び降り、華麗に着地する。
─直後、廊下から何人かがドタバタと走ってくる音が聞こえてきた。
案の定、プリンス・ユキ…通称プリユキ(由希のファンクラブ)の猛者達だった。
そんな三名に構う余裕もなかった由希は、口を震わせながら歩き出し、やがてその足は全速で透やルビー達の元へ向かっていた。
魚谷が窓に張り付いて慊人を見ながらブツブツと呟くプリユキの三名を見る。
その後も親衛隊の考察は続く。
【校門前】
沈黙の中、慊人がルビーの元へ歩き出した。
慊人の声は、本当に男性と間違えるくらい低いものだった。その指はマイクを指している。
すると、ルビーがふっと笑った。
慊人がルビーに掴みかかろうとしたのを、アクアが身を呈して止める。
慊人がアクアの腕を掴んで深く引っ掻く。
アクアはルビーを一瞥して、顔を顰めた。
その言葉を聞いた慊人の口元が歪む。
慊人が更に爪を立てる。長く鋭い爪が、アクアの腕にくいこんだ。
慊人が駆け寄ってきた撥春と紅葉を振り払う。
我慢の限界を迎えた透が、涙を流しながらアクアと揉み合いになっている慊人に背後から手を回し、引き剥がそうとした。
そして、今まで出したことも無いほどの大声を出す。
すると、校舎から出てきた由希が、息を切らしながら透の隣に立った。
夾もそれに続く。
そして慊人が、身体を押さえている透の髪を掴みあげた。
一方で、ルビーは別の人物へ怒りをぶつけていた。
ルビーが笑いながら、しかしその目はツクヨミを喰らいつくさんとばかりに凝視していた。
先にキレたのは、ルビーだった。
ルビーがツクヨミを押し倒し、その上に馬乗りになってツクヨミの首を締める。
──右を向けば、揉み合いになる異世界の住人達。
──左を見れば、今にも幼い少女を絞め殺しそうな妹。
いつの間にか隣にいた花島が呟き、アクアもコクリと頷いたのだった。











































編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!