第23話

混沌
60
2026/02/24 11:57 更新
草摩慊人
草摩慊人
 
教室にて、由希と夾の目に、慊人と向かい合うアクア達の姿が飛び込んできた。
草摩夾
草摩夾
…っ
草摩由希
草摩由希
(慊人…何で学校に……どこから聞かれて…)
慊人を見た由希と夾が、教室内で硬直した。その表情から、クラスメイト達が尋常じゃない状況であることを悟る。
魚谷ありさ
魚谷ありさ
おいおい、どうしたんだよ。きょんはともかく王子までぼーっとして
魚谷がめずらしく黙りこくる二人を見て首を傾げた。
由希君大丈夫?体調悪い?
夾?
草摩由希
草摩由希
…はぁ、はぁ…
由希の呼吸が荒くなる。
草摩夾
草摩夾
(そうだ…透が近くに…!)
草摩夾
草摩夾
くそっ…
は!?嘘だろ!?
夾はベランダに出ると、女子達の悲鳴と共に飛び降り、華麗に着地する。
─直後、廊下から何人かがドタバタと走ってくる音が聞こえてきた。
親衛隊その一
親衛隊その一
由希…!あの兄妹は一体何ですか…!?知り合いなの!?
案の定、プリンス・ユキ…通称プリユキ(由希のファンクラブ)の猛者達だった。
親衛隊その二
親衛隊その二
本田透も校門で何してるの!?
親衛隊その三
親衛隊その三
あの車から出てきた男の子は!?
草摩由希
草摩由希
そんな三名に構う余裕もなかった由希は、口を震わせながら歩き出し、やがてその足は全速で透やルビー達の元へ向かっていた。
魚谷ありさ
魚谷ありさ
何か、すげぇビビりながら出てったな、珍しいこともあるもんだ
魚谷が窓に張り付いて慊人を見ながらブツブツと呟くプリユキの三名を見る。
魚谷ありさ
魚谷ありさ
…てかお前ら何してんの
親衛隊その一
親衛隊その一
集まる草摩の方々と、如何にもお高そうな黒いリムジン…
親衛隊その二
親衛隊その二
そして由希とあのオレンジ頭の反応…
親衛隊その三
親衛隊その三
想定外とも取れる金髪兄妹の登場…
その後も親衛隊の考察は続く。
親衛隊その一
親衛隊その一
これらから導かれる最適解は…!!
親衛隊その二
親衛隊その二
あの謎に包まれた草摩家の…
親衛隊その三
親衛隊その三
一番偉い…
親衛隊その一
親衛隊その一
ご当主様…!!!
魚谷ありさ
魚谷ありさ
魚谷ありさ
魚谷ありさ
…まじか
【校門前】
ツクヨミ
ツクヨミ
………もっと早く動くべきだった
星野ルビー
星野ルビー
星野アクア
星野アクア
草摩慊人
草摩慊人
本田透
本田透
(慊人さん…)
沈黙の中、慊人がルビーの元へ歩き出した。
草摩慊人
草摩慊人
…ねぇ
星野ルビー
星野ルビー
…何しにきたの
草摩慊人
草摩慊人
聞いてるのはこっちなんだけど
草摩慊人
草摩慊人
今、何しようとしてたの
慊人の声は、本当に男性と間違えるくらい低いものだった。その指はマイクを指している。
星野ルビー
星野ルビー
ああ
すると、ルビーがふっと笑った。
星野ルビー
星野ルビー
深堀れワンチャン。私とお兄ちゃんのレギュラー番組のトークショーだよ
草摩慊人
草摩慊人
そうじゃない
草摩慊人
草摩慊人
……そうじゃないだろ!!
星野アクア
星野アクア
ルビー
慊人がルビーに掴みかかろうとしたのを、アクアが身を呈して止める。
星野ルビー
星野ルビー
だから?わざわざ自分の話題が出てるって知らされて、急いで来たの?
草摩慊人
草摩慊人
っ…!!
慊人がアクアの腕を掴んで深く引っ掻く。
星野アクア
星野アクア
っ…
星野ルビー
星野ルビー
アクア、私は大丈夫。覚悟できてるから。手離して
アクアはルビーを一瞥して、顔を顰めた。
星野アクア
星野アクア
…覚悟って何だよ。殺される覚悟か?
星野ルビー
星野ルビー
星野アクア
星野アクア
俺はただ…〝妹〟を守ってるだけだ
その言葉を聞いた慊人の口元が歪む。
草摩慊人
草摩慊人
…ふっ
草摩慊人
草摩慊人
何だよ、それ。妹だから助ける?大切なのは血縁関係か。ははっ!安い正義感だな
草摩慊人
草摩慊人
やっぱり血の繋がりがないと…絆が無いと駄目なんだ!僕達も助け合うために絆が必要!!切れてはいけない繋がりなんだ!
慊人が更に爪を立てる。長く鋭い爪が、アクアの腕にくいこんだ。
本田透
本田透
…!
草摩撥春
草摩撥春
慊人
草摩紅葉
草摩紅葉
慊人やめて!!ボク達がちゃんと止めなかったのが悪いから!話の種にされてされて嫌だったよね…!ごめ─
慊人が駆け寄ってきた撥春と紅葉を振り払う。
草摩慊人
草摩慊人
何でこいつらを庇う!!十二支がぼくに歯向かうな!!
本田透
本田透
っ…!!
我慢の限界を迎えた透が、涙を流しながらアクアと揉み合いになっている慊人に背後から手を回し、引き剥がそうとした。
本田透
本田透
慊人さん!!!
そして、今まで出したことも無いほどの大声を出す。
本田透
本田透
絆という言葉は…!十二支と慊人さんからは程遠いものです!
本田透
本田透
相手に抵抗できないのは…言葉をねじ伏せられるのは…!そんなの絆じゃない!ただの支配です!!だから十二支の皆さんにとっては呪いでしかない!
草摩慊人
草摩慊人
うるさい!!お前が現れてから全てが台無しだ!全部!全部!今まで従順だった奴らがこぞって僕から距離を取りだした!!お前が変なことを吹き込んだろ!?
すると、校舎から出てきた由希が、息を切らしながら透の隣に立った。
草摩由希
草摩由希
違う…違うよ。本田さんは、本来あるべき僕らの姿に近づける為に、手伝ってくれただけだ
草摩夾
草摩夾
そうだ。透が現れてから台無し?そもそも前のお前中心のドロドロした関係が変だったんだよ。人のせいにすんな
夾もそれに続く。
草摩慊人
草摩慊人
っ…
草摩慊人
草摩慊人
じゃあ僕のせいにもするなよ!!
そして慊人が、身体を押さえている透の髪を掴みあげた。
本田透
本田透
ぐっ…!!
草摩紅葉
草摩紅葉
トール…!!慊人やめて!!
星野ルビー
星野ルビー
ねぇ、お前さ、見てるばっかじゃなくて助けなよ
一方で、ルビーは別の人物へ怒りをぶつけていた。
ツクヨミ
ツクヨミ
そうしたいのも山々だけど、私がこの世界に干渉するのはあまりよろしくないんだ
星野ルビー
星野ルビー
…じゃあ何で来たの
ツクヨミ
ツクヨミ
君たち二人を守るため
星野ルビー
星野ルビー
ははっ
星野ルビー
星野ルビー
一つも守れてないじゃん。アクアの腕の傷。目見えてる?
ルビーが笑いながら、しかしその目はツクヨミを喰らいつくさんとばかりに凝視していた。
ツクヨミ
ツクヨミ
その程度の怪我、君達からすればかすり傷だろう?死ぬものでもあるまい
星野アクア
星野アクア
……その言葉、皮肉にしか聞こえないんだが
ツクヨミ
ツクヨミ
…重症だなぁ。もっと気楽に生きればいいのに。〝前世みたいに〟
星野アクア
星野アクア
目の前で母親を殺されて、気楽に生きれると思うか?
ツクヨミ
ツクヨミ
……本当の母親じゃないのに?
ルビー
ルビー
先にキレたのは、ルビーだった。
ルビー
ルビー
お前さ…今すぐ消えてよ
ルビーがツクヨミを押し倒し、その上に馬乗りになってツクヨミの首を締める。
草摩慊人
草摩慊人
その長い髪、切ってやるよ!!
本田透
本田透
離してください!!
草摩由希
草摩由希
慊人!!
草摩撥春
草摩撥春
慊人、ひとまず落ち着いて。今グレ兄達呼んだから
草摩紅葉
草摩紅葉
トール…!
草摩夾
草摩夾
透!!
星野アクア
星野アクア
──右を向けば、揉み合いになる異世界の住人達。
ルビー
ルビー
私達の心を弄ぶな
ツクヨミ
ツクヨミ
ゲホッ…弄んでいるつもりは…ないよ…
──左を見れば、今にも幼い少女を絞め殺しそうな妹。
星野アクア
星野アクア
花島咲
花島咲
混沌カオス……ね
いつの間にか隣にいた花島が呟き、アクアもコクリと頷いたのだった。

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