第56話

No.56
95
2026/02/24 15:00 更新
(なまえ)
あなた
そ、それは…
日向 創
日向 創
あなた…怒鳴って悪かった
いいから訳を聞かせてくれないか?
(なまえ)
あなた
い、嫌っ…
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
あなたさん?
(なまえ)
あなた
だめ…やだ
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
言ってくれなきゃ分からないよ
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
勿論、ボクはキミを疑ったりしてない
それはキミが1番わかってるでしょ?
(なまえ)
あなた
い、言ったってわかってくれないよ!!
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
あなたさん
(なまえ)
あなた
信じてくれないんでしょ!?
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
あなたさん
(なまえ)
あなた
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!
(なまえ)
あなた
絶対に言うもんか!!
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
あなたさん、言って

 ボクは、自分の髪を引っ張るあなたさんの腕を強く掴んだ。

それに驚いたのか、あなたさんは一瞬ボクの事を見てくれた。
日向 創
日向 創
お、おい狛枝…
そんなに強く握ったら、あなたが…
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
日向クンは黙ってて

 ボクはあなたさんの目を見つめた。

あんなに綺麗な瞳が、今は震えてる。
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
あのさ、言ってくれなきゃ分からないって言ってるよね?
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
ちゃんと話してよ
最初出会った時だって、ボクはキミが話すのをちゃんと待ってたよ
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
今回だってちゃんと待つから、ちゃんと話して

 口調が強すぎただろうか。

掃除を終わらせた時から、ボクは嫌われてしまったのに、もっと嫌われちゃったかな。

そう思うと心が苦しい。

 相変わらずあなたさんは黙りで、周囲の人達は全員あなたさんに詰め寄った。

パーティーが始められないだの、事件を起こすつもりだっただの、いつまで経っても始められない別の部屋に閉じ込めておけば良い一人一人確実に殺っていく作戦だった放っておいてさっさと始めようだの。

こんな言葉ばっかりだ。

 ボクは腹が立った。

散々あなたさんに救われてばっかりだったみんなが、こんな時ばっかりあなたさんを寄って集っていじめる。

 こう思ってしまったボクはきっと罰を受けるだろう。

でもね、ボクはキミが疑わられるのはちょっと…いや、絶対に嫌なんだ。
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
また黙り込むんだ
(なまえ)
あなた
…え?
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
それって、キミの悪い癖だよね
自分の都合が悪いと黙りしちゃうんだよね、そうでしょ?
(なまえ)
あなた
ち、ちがっ…
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
違くないよね?
今だってみんなを困らせてる、キミのその黙りでさ
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
ね、楽しい?
場を掻き乱して困らせるの、楽しい?

 ああ…誰かボクを殴り飛ばしてくれないかな。

本当はあなたさんに寄り添って、あなたさんが思ってる事をボクが受け止めてあげなきゃなのに。

あなたさんが笑顔になるまでがボクの思い描いていた今なのに。

 ボクは最低だ。

もう後には引けない。
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
ボクさ、前に聞いちゃったんだよ、キミの声を…
(なまえ)
あなた
私の…?
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
ボクは聞こえなかったフリをしたけど
はっきりと聞こえたよ「死にたい」なんて言ってたよね
(なまえ)
あなた
……!!
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
ねぇ、怪我はしてなかった?
ポシェットでも、こんな量が入ってたらどこか破けて怪我してるかもしれないからね
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
それにさ、本当は逃げたくて仕方がないんでしょ?
だってこんなに震えてる人が何を言ってるんだって話だよね
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
あなたさんのそれって、危険な物を集めたやつなんでしょ?
(なまえ)
あなた
っ!!
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
ん?当たりかな?
十神クンが危険物を集めるってわかってたからだよね?
(なまえ)
あなた
ぅ……
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
あれ、声も出なくなっちゃった?
さっきまでの勢いはどこに行っちゃったの?
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
はは…かわいい
みんなの不信を向ける為にこんなことを言うだなんて、キミは本当にいい子だよね
(なまえ)
あなた
なんでそれを…!?
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
はは…まぁ、そしたら自分だけ生き残れるもんね?
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
学級裁判で自分がクロだって疑われなきゃいけないもんね?
(なまえ)
あなた
や、やめて…それ以上は…
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
やめないよ、キミは1人で生き残ろうとしていたんだ
小泉 真昼
小泉 真昼
う、嘘…
日向 創
日向 創
そんな…あなたが…
罪木 蜜柑
罪木 蜜柑
あなたちゃん…
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
キミはまだ自分の事で手一杯なんだよね?
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
みんなみたいに前に進めたら良かったんだろうけど、キミには無理だったんだね
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
だって君は臆病だから
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
割り切れたフリをして、前を向けたって自己暗示は楽しかった?
(なまえ)
あなた
楽しくない…わけ、ないじゃん
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
……その右耳を触るのは無意識なの?
それとも嘘をつきますよーって合図なの?
(なまえ)
あなた
……!?
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
だって、キミ嘘つく時に絶対右耳触るよね
(なまえ)
あなた
……わ、わかんないよっ
(なまえ)
あなた
わかんないの!!
私が私じゃなくなっていくような感じがして…
(なまえ)
あなた
自分でも怖いの!
でもきっと…みんなは信じてくれないから…怖いんだよ…誰か1人でも欠けちゃうのが!!
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
……本当の事を話してくれて、ありがとう
(なまえ)
あなた
あ……
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
キミは1人で抱え込まないでね

 ボクはあなたさんの額に自分の額をくっつける。

最初に会った時にやったみたいに。

こうすると、あなたさんはボクの目だけを見てくれる。

 ほっとしているあなたさんを見て、ボクは安心した。

今は何も聞かない方が良いという事で、みんなは大広間に帰ってしまった。

ボクとあなたさんは、そのまま廊下に取り残されていた。

日向クンは、七海さんとソニアさんに連れていかれてしまった。
 みんなが戻ってからかれこれ5分が経った。

手を繋ぎながら廊下に二人で座り込んでいる。

そしてずっと泣いてる。

 ボクの手を強く握りながら、子供みたいに泣いてるあなたさんを可愛いと思うのは場違いなんだろうけど。

 あなたさんは感情も精神もぐちゃぐちゃになってしまって、あなたさんにとって、これ以上の絶望はないだろうな。

 こうして乗り越えて来たからこそ、あなたさんには絶対的希望を感じるのかもしれない。
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
あなたさん、そんなに泣いて大丈夫?また腫れちゃうよ?
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
この間のだってようやく落ち着いてきたばっかりなのに
(なまえ)
あなた
うぅ…うぅっ…

 一向に泣き止む気配がない。

さて、どうしたものか。

 というか、あなたさんはボクの傍に居てもいいのかな。

あんなに酷いことを…ボクは言ったのに。
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
…あのさ、ボクの近くに居て大丈夫なの?
(なまえ)
あなた
ううっ…ぇ…?
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
だって、さっきみたいに意地悪で配慮の欠片もない辛辣で非道な言葉ばっかり言っちゃう奴なんだよ?
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
掃除の時みたいに、キミを不快にさせるような…
キミを怒らせるような事も言っちゃう奴なんだよ?
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
普通、みんなみたいに距離取りたくなるでしょ…嫌いになるでしょ
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
だって、ボクの近くに居るとタダじゃ済まないんだから…
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
なのになんでキミはボクに近寄ってくれるの?
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
なんでキミはボクを構うの?

 ボクは、あなたさんの機嫌が明らかに悪くなった瞬間にボクが言ったことを思い出した。

どれも考えれば一瞬でわかる事なのに、あなたさんにはなんでも話してしまう。

それが嫌な言葉でも。

 さっきからボクは変だ。

調子が狂いすぎてる、落ち着け。

 ふとあなたさんを見てみると、息を整えようと息を吸って吐いてを繰り返していた。

しばらく待ったあと、あなたさんから返事が来た。
(なまえ)
あなた
わ、私は…みんなとは違う…
(なまえ)
あなた
こんなに汚い体、記憶早く消しちゃいたい
(なまえ)
あなた
狛枝くんもそう思うよね?
私…こんな汚れた体でもう生きたくなかったの!!
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
……

 あなたさんは、全部ボクにぶつけてくれた。

それをボクは投げ返さない、ちゃんと、1つ1つ大切に受け止める。

そうしないとあなたさんが消えちゃいそうな気がして仕方がないから。
(なまえ)
あなた
だからね…狛枝くんが私を理解してくれようとしてくれたのか凄く嬉しかったの!!
(なまえ)
あなた
狛枝くんがこうして手を握ってくれるのなんて、あれが最後だと思ってたから…
(なまえ)
あなた
それに、私があんな事言っちゃったから、嫌われちゃったのかと思ってたのにっ…
(なまえ)
あなた
私だって、狛枝くんが知りたいんだよ!!

 そう言うとまた泣き出してしまった。

可愛い顔が余計に可愛くなってしまう。

泣き顔フェチ…とやらになってしまったのだろうか。
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
驚いた…まだボクなんかの事を思っててくれたんだ…
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
キミは本当に優しい人だな…
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
実を言うと、ボクもキミに嫌われたんじゃないかってすごく不安だったんだ…
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
ボクも、キミの事をもっと知りたい

 今なら言える。

心の底からそう思う。

やっぱり、ここから出る前にあなたさんの支えに成れる人が必要だ。

その存在がボク以外の誰かになるって想像するだけで吐き気がする。

あなたさんの隣に立てるのはボクだけで、あなたさんが選ぶのもボクだ。

それはきっと神様が決めた運命なんだよ。
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
…だから、ボクと────
日向 創
日向 創
……
(なまえ)
あなた
に、兄ちゃん…!?
日向 創
日向 創
あなたから離れろーっ!!

 どうやら、ずっと帰って来ないボク達を気にして見に来てみたら、こう言う状況だったという事らしい。

この人が“義兄さん”になるのかと思うと…。
日向 創
日向 創
俺の妹は誰にも渡さないからな…
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
ごめんって…
日向 創
日向 創
俺は許してない!
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
まぁまぁ、話を聞いてよ
日向 創
日向 創
聞くも何も、何を言おうとしていたかなんて一目瞭然だろ!?
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
えぇ…そんなの、その時になってみないと分からなかったでしょ?
日向 創
日向 創
……はぁ、お前にだけはやりたくないな
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
それってどういう意味?
日向 創
日向 創
そのままだよ!!

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