第57話

No.57
152
2026/02/25 15:00 更新
あなたside>>

 私はぐちゃぐちゃの顔で会場に戻ったら、ソニアさんと蜜柑ちゃんに顔を拭いてもらったり、少し化粧をしてもらったりした。

 だいぶとマシな顔になったから、とりあえずまた大広間に戻る事にした。

 私が大広間に入った瞬間、一瞬だけ冷たい風が吹いたみたいだった。

危険物を回収するべく、兄ちゃん達はどこかへ言ってしまった。

 私は隅っこの卓上ランプが置かれているテーブルの前に突っ立っていた。

こうしてみんなと交流する機会があるのは凄く大切だと思う。
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
あれ、罪木さんは?
(なまえ)
あなた
西園寺さんにいじめられてるよ…
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
そっか
(なまえ)
あなた
……
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
みんなの所には行かないの?
(なまえ)
あなた
私、迷惑かけちゃったから
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
……
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
じぁあ、ボクがキミに魔法をかけてあげるよ
(なまえ)
あなた
え?魔法?

 狛枝くんはそう言うと、私の手を取って手の甲にキスをした。

私が慌てていると、狛枝くんは笑っていた。
(なまえ)
あなた
なっ!なんで笑うの!?
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
キミが可愛くって、ついね
(なまえ)
あなた
そ…そうやってまたそんな事言う…!!
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
本当の事だよ?
それにほら、有名な童話みたいなガラスの靴はないけど、魔法のパーティーは0時で終わるでしょ?
(なまえ)
あなた
うん…
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
だから、ボクがキミに魔法をかけてあげる
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
キミが少しだけ勇気が出せるような魔法をね
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
それに、今日の事も一緒に償わせてくれる?
(なまえ)
あなた
…うん!
(なまえ)
あなた
ありがとう

 そうして、私は狛枝くんに手を引っ張られながら色んな人の場所を巡った。

まず始めに声を掛けたのは、蜜柑ちゃんの所だった。
罪木 蜜柑
罪木 蜜柑
あ!あなたちゃん!
心配してましたぁ…!!
(なまえ)
あなた
み、蜜柑ちゃん…!
罪木 蜜柑
罪木 蜜柑
怪我はありませんか?
息苦しかったりしませんかぁ!?
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
どうしたの?
ほら、何か答えないと
(なまえ)
あなた
う、うん…
(なまえ)
あなた
罪木ちゃん、心配してくれてありがとう
(なまえ)
あなた
私は大丈夫だよ
罪木 蜜柑
罪木 蜜柑
ふゅぅ…それならよかったですぅ…
罪木 蜜柑
罪木 蜜柑
も、もう!心配したんですよ!
もうあんな事しないでくださぁい!!

 蜜柑ちゃんはそう言って私を抱きしめてくれた。

私のシャツが蜜柑ちゃんの鼻水と涙でグチョグチョになる前に泣き止ませなきゃ。

私はそうやって私を思って泣いてくれる人が居るんだと知って嬉しくなった。
罪木 蜜柑
罪木 蜜柑
あ…そういえば、辺古山さんも心配してましたよ…?
(なまえ)
あなた
そうだったんだ…
わかった、後で辺古山さんの所に行ってみるね
罪木 蜜柑
罪木 蜜柑
はい!
狛枝side>>

 そうしてあなたさんと罪木さんは楽しそうに話していた。

すると、罪木さんは何か思い出したようにポケットの中を探してた。
(なまえ)
あなた
蜜柑ちゃん?どうしたの?
罪木 蜜柑
罪木 蜜柑
あ、いえ…ちょっと待っててくださいっ…
(なまえ)
あなた
う、うん?
罪木 蜜柑
罪木 蜜柑
あー!ありましたっ!ありましたぁ!

 罪木さんはポケットから2つのリボンを取り出した。

赤色のリボンは、あなたさんによく似合いそうだ。
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
これ、どうしたの?
罪木 蜜柑
罪木 蜜柑
えぇっと…あなたちゃんに似合うかなぁって思いましてぇ
(なまえ)
あなた
わ、私に…?
罪木 蜜柑
罪木 蜜柑
はいぃ!!
不快に思ったのなら謝りますからぁ!
罪木 蜜柑
罪木 蜜柑
嫌わないでくださぁい!!

 そう言うと罪木さんは泣き出してしまった。

今日は泣く人が多いな。

 そんな罪木さんに、あなたさんは手を取って「ありがとう」と言った。
(なまえ)
あなた
よかったら、付けてくれる?
罪木 蜜柑
罪木 蜜柑
は、はわぁ!勿論です!!

 罪木さんはあなたさんの両サイドの三つ編みを手に取って、優しく結んでいる。

本当だ、本当によく似合ってる。
罪木 蜜柑
罪木 蜜柑
あなたさんの髪は柔らかいですねぇ、とてもよく似合ってますぅ!
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
あなたさんの髪は日向パワーが詰まってるんだよ
罪木 蜜柑
罪木 蜜柑
日向パワー…ですかぁ?
(なまえ)
あなた
うん、そうだよ
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
凄く似合ってるよ、あなたさん

 ボクがそう言うと、あなたさんは顔を赤くしてしまった。

罪木さんが熱があるんじゃないかと慌てていたけど、そうじゃない事くらいボクにもわかる。
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
ごめんね、ボクが変な事を言ったから…
(なまえ)
あなた
ち、違うっ!違うよ!!
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
じゃあ…本当は?

 またあなたさんは黙り込んでしまった。

こうして意地悪をしてしまうのは、あなたさんが可愛いせいでもあるんじゃないかな…。

本当にあなたさんはボクを狂わせる。
十神 白夜
十神 白夜
ここに居たか

 後ろから突然、十神クンの声が聞こえた。

十神クンの事だから、またボクとあなたさんを引き離すんだろうな。
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
やぁ十神クン、どうしたの?
十神 白夜
十神 白夜
単刀直入に言う、日向、お前は花村の手伝いをしろ
(なまえ)
あなた
えっ…
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
それを日向クンが聞いたら怒るんじゃない?
十神 白夜
十神 白夜
知らん、とにかく、お前は厨房に行け
(なまえ)
あなた
そ、そっか…わかった

 そう言うと、あなたさんは厨房の方へ向かおうとした。

そしたら、丁度辺古山さんが大広間に入って来た。

 ボクはぶつからないように、あなたさんの腕を引っ張ってしまった。

辺古山さんもあなたさんも驚いた顔をしていた。
辺古山 ペコ
辺古山 ペコ
すまない!怪我はないか!?
(なまえ)
あなた
え、あ、うん、大丈夫だよ
辺古山 ペコ
辺古山 ペコ
…その髪飾り、とても似合っているな
(なまえ)
あなた
でしょ!蜜柑ちゃんが選んでくれたの
辺古山 ペコ
辺古山 ペコ
そうか…
辺古山 ペコ
辺古山 ペコ
なんだか、妹が出来たような気分だな
(なまえ)
あなた
妹…へへ、嬉しいな
辺古山 ペコ
辺古山 ペコ
…私はこれからジュラルミンケースを見張る為、倉庫に行く所だ
(なまえ)
あなた
え?倉庫に?
辺古山 ペコ
辺古山 ペコ
嗚呼、何か問題か?
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
ほら、あの倉庫ゴチャゴチャしてるし
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
蜘蛛の巣もびっしり…
ボク達も倉庫までは手が回ってなかったんだよね
(なまえ)
あなた
そうだよ…あんな場所にずっと居たら体調悪くなっちゃうよ!
辺古山 ペコ
辺古山 ペコ
そうか…なら、事務室に変更するように伝えて来よう
辺古山 ペコ
辺古山 ペコ
あなた、楽しむんだぞ
(なまえ)
あなた
…うん!

 辺古山さんに手を振って、あなたさんは笑っていた。

すごく嬉しそうで、すごく楽しそう。
七海 千秋
七海 千秋
あれ、あなたちゃん?

 辺古山さんが行った後、あなたさんの後ろに居たのは七海さんだった。
(なまえ)
あなた
七海ちゃん…!
どうしたの?
七海 千秋
七海 千秋
私とモノミはこれから見張りに行く所だよ
(なまえ)
あなた
見張りって…モノクマから?
七海 千秋
七海 千秋
うん、あなたちゃんもパーティー楽しんでね

 七海さんは一言二言交わして、あっさりと行ってしまった。
(なまえ)
あなた
……狛枝くん、私もそろそろ行くね
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
あ、うん、気をつけて、何かあったら直ぐに言ってね
(なまえ)
あなた
うん

 そう言って、ボク達はボク達の行くべき場所に進んだ。
あなたside>>
花村 輝々
花村 輝々
ねぇねぇ!
日向さんってどこの中学出身なの!?
花村 輝々
花村 輝々
日向ちゃんって呼んでも良い!?
それともあなたちゃん?
あなたちゃんって呼ぶね!
花村 輝々
花村 輝々
日向くんが2人いると紛らわしいもんね!
そうするね!
花村 輝々
花村 輝々
あなたちゃんは好きな料理ってある?
(なまえ)
あなた
…それは
花村 輝々
花村 輝々
あるの!?
教えてほしいな〜!!

 なんだこの人、とてもうるさい。

出会った頃からずっと思ってたけど、本当にうるさい。

悪気はないんだろうけどさ。

 さっきからずっと私の周りウロウロしてるし…本当…はぁ。
(なまえ)
あなた
…オムライスだよ
花村 輝々
花村 輝々
オムライス?
(なまえ)
あなた
うん、兄ちゃんが初めて作ってくれたのがオムライス
(なまえ)
あなた
料理自体初めてだった兄ちゃんのオムライスはぐちゃぐちゃで…すごく“不細工”だった
(なまえ)
あなた
でもね、見栄えなんてどうでもよかったんだ、兄ちゃんが一生懸命作ってくれた
(なまえ)
あなた
それが1番の幸せの味だったから

 あの味が、私の口の中に思い出と一緒に広がってく。

目を閉じると、あの日の事をよく思い出す。

 私が日向家に引き取られて間もない頃、どうしても心が開けなかった私の為に兄ちゃんはオムライスを作ってくれた。

 その日から、私はお兄ちゃんっ子だ。

私に歩み寄ってくれて、この人はいい人なんだって安心させてくれた。
花村 輝々
花村 輝々
うんうん、そうだよね、見栄えは勿論だけど、1番は愛!
花村 輝々
花村 輝々
その人を思って作るのが大事なんだよね!

 そう言うと、花村くんは冷蔵庫から卵を出して、フライパンを持っていた。

何だろうと思っていたら、私の方にどんどん近づいてくる。
花村 輝々
花村 輝々
あなたちゃん!
せっかくだから一緒に作ろうよ!
花村 輝々
花村 輝々
日向くんが作ってくれたそのオムライスをさ!ぼくも手伝うよ!
(なまえ)
あなた
……うん!作るよ!

 そうして私達はオムライス作りを始めた。

1番は心を込める事、相手の喜ぶ顔をよく想像するんだって。
(なまえ)
あなた
…花村くん!
卵綺麗に割れたよ!
花村 輝々
花村 輝々
凄いね!
さっきまであんなに殻が入っちゃってたのに!
(なまえ)
あなた
それは…ごめんね
花村 輝々
花村 輝々
いいや!
何も問題はないよ、ぼくが再利用するからね!
(なまえ)
あなた
…へへ、ありがとう、花村くんって本当は優しいんだね
花村 輝々
花村 輝々
本当は、は余計なような…

 温めたフライパンに油を敷いて、掻き混ぜた卵を流し込む。

ジュウジュウと美味しそうな音を奏て、ただのライスがフライパンの上でドレスチェンジしてる。

 なんだかそれが面白くって、笑っちゃう。

料理ってこんなに楽しいんだなんて、初めての経験だった。
花村 輝々
花村 輝々
こ…これは…
(なまえ)
あなた
ベーコン丸置きフワフワオムライスだね
花村 輝々
花村 輝々
長いよ!名前が長いよっ!

 そうして私達は出来上がった料理と一緒に大広間に運びに行った。

 すっかり料理の虜になった私は、花村くんに料理のコツや、簡単なレシピを聞いた。

 料理は全部花村くんが持ってくれたから、私はメモをちゃんとかけた。
花村 輝々
花村 輝々
そうそう、この時にフライパンを1度冷やすんだよ、そうしたらふわふわのパンケーキの出来上がりさ!
(なまえ)
あなた
へぇ…なるほど
花村 輝々
花村 輝々
手間と愛情をかけてこその料理だからね!

 レシピを聞いている内に大広間に着いた。

花村くんは「大丈夫だよ」と私の作ったオムライスを渡してくれた。

 わかってるよ。

兄ちゃんは私の作った物を絶対に捨てずに取っておく人だから。

最初それを知った時はびっくりしたっけか。
日向 創
日向 創
あなた!
変な事されてないか!?
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
あなたさん大丈夫?気分悪くない?
(なまえ)
あなた
うん、大丈夫だよ!
むしろ楽しいんだ!
日向 創
日向 創
い、一体何をされたんだっ…
(なまえ)
あなた
あ、そんな事より…はい、これ…

 私が兄ちゃんにオムライスを渡すと、兄ちゃんは驚いた顔をしていた。

 スプーンを差し出すと、ありがとう、と笑顔で受け取ってくれた。
日向 創
日向 創
…美味い
(なまえ)
あなた
ほんと?
日向 創
日向 創
ああ!本当に美味しいぞ!!
日向 創
日向 創
お前は天才だ!!
狛枝 凪斗
狛枝 凪斗
え、日向クン、ボクにも1口頂戴よ
日向 創
日向 創
は?嫌に決まってるだろ!
(なまえ)
あなた
はははっ、面白いなぁ

 狛枝くんはオムライスの上にベーコンが丸々ひとつ乗っかっているのが新鮮だって言った。

 兄ちゃんが「これは俺が作った初めての料理なんだ」って言ったら「だからこんなに斬新なんだね!」って笑った。

 みんなを笑顔にできる料理って、凄いな。

みんなを幸せにできる人になれた気がした。

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